「最近、日本のブランドってどーなの?」緊急ガールズトーーク! ジャーナリストチーム編

世界規模の人気を誇るブランド、それに続くと期待される注目の新人に、話題の90’sリバイバルや「裏原ストリート」「私的愛用ブランド」まで。ファッションを生業とするジャーナリストチームが日本のブランドについて、ぺちゃくちゃおしゃべり。


廣田悠子さん(WWDジャパン記者)
五十君花実さん(繊研新聞社記者)
マスイユウさん(ファッションジャーナリスト)

GINZA 今日お集まりいただいたジャーナリストの皆さんには、まず、毎シーズンがっつり取材していらっしゃるであろう東京コレクションに参加しているブランドについてお聞きしますね。今、特に注目しているブランドはどこですか?

五十君 〈ウジョー〉(1)と〈サルバム〉(2)ですね。東京ってカルチャー寄りのブランドが圧倒的に多いでしょ? それも楽しいっちゃ楽しいんですが、この2つのブランドはしっかりファッションという土俵で、クリエイションで勝負している。そこが注目ポイント!

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1. 元〈ヨウジヤマモト〉のパタンナー、西崎暢が2009年にスタートしたブランド。美しいテーラリングと大胆なカッティングが魅力。

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2. デザイナーは藤田哲平。〈ヨウジヤマモト〉でパタンナーとして経験を積んだのち、2014年に設立し、東京コレクションに参加。

 

マスイ 〈ウジョー〉はジョルジオ アルマーニ主催の若手デザイナー支援プログラムの一環でミラノコレクションを発表したし、〈サルバム〉は次のピッティ・イマージネ・ウォモのゲストデザイナーに選ばれたよね。

五十君 おふたりとも〈ヨウジヤマモト〉出身で、王道の服作りのベースがしっかりある人たちです。 マスイ ちょっとやそっとじゃ何やってるのか理解できないくらいコンセプチュアルなのは〈ノリコナカザト〉(3)。今、海外でヴァーチャルリアリティ的なものが流行っているんだけど、一番最初にその手法で洋服を見せたのは彼女だった。先の先を読みすぎて、時代が追いつけないくらい(笑)。他を寄せつけないほど〝振り切ってる〟感じは魅力だよ。

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3.「ここのがっこう」出身の中里周子が、2014年に設立。同年、欧州最大級のファッションコンテスト『ITS』のジュエリー部門で、グランプリを受賞。© Kenta Cobayashi

 

廣田 東コレではなくパリコレでショーを見せているので、ちょっと質問から外れちゃいますが、私はその〝振り切り感〟を〈サカイ〉に感じます。日本ブランドを海外で見るとき、「ああ、日本っぽいなぁ」って思うことが多かったんですが、〈サカイ〉は世界のラグジュアリーブランドと肩を並べようと、いいスタイリストといいモデルを起用し、世界中の著名プレスたちが集まるなかでショーを見せる。インターナショナルなブランドとして振り切ってる!

マスイ 「ハイブリッド」というキーワードは日本っぽい感じあるけどね。

廣田 そのテクニックが世界でトレンドになる強さをもっているところがすごいと思います。国内外関わらず、イメージ戦略という点でも抜きん出た存在かと。

GINZA そんな〈サカイ〉をコレクション会場で世界中の人が着ているのを見ると、毎度のことながら胸が熱くなるんです〜。

廣田 〈トーガ〉もロンドンに出て英国やアジアを中心に広がっている気がします。

マスイ ヨーロッパ、アジアの主要なセレクトショップに必ず入ってるね。特に靴の広がり方はすごい。デザインもさることながら、価格に対しての凝ったデザイン効果が高いからバイヤー受けもいいんだろうね。

五十君 他に注目されているという点では、山縣良和の〈リトゥンアフターワーズ〉(4)でしょうか。エンターテインメント性が強く、洋服だけで勝負する王道ブランドではないですけど、内側から切に訴えかけてくる強さはありますよね。ストーリーテラーです。

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4. デザイナー山縣良和がセントラル・セント・マーチンズ芸術大学卒業後、2007年に玉井健太郎(2009年辞任)と設立。「ここのがっこう」主宰。

 

マスイ 前シーズンは「ゲゲゲの鬼太郎」だったよね。確かに外人は結構、みんな好きよ。

廣田 それまではイマジネーション先行型だったけど、最近、着ることを考えた服を出したよね。売る気出してきた!それが楽しみで仕方ないです。

五十君 カルチャーだけで終わらせずに、それをきっちりモードな服作りに転換させて勝負しているという意味では〈ファセッタズム〉(5)が先行しています。

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5. 2007年にデザイナー落合宏理がスタート。16年LVMHプライズのファイナリスト8名に日本人で初めて選出される。今、最も世界から注目が集まる東京ブランドのひとつ。

 

マスイ 僕はスタイリストの伏見京子さんが主宰する「ハプニング」のゲリラショーも好きよ。ああいうバイブスは東京らしくていいんじゃない? 自由でロマンスがあってさ。

廣田 確かにその多様性こそ東京って感じはあるよね。世界的にユースとかストリートのムードが高まっている昨今、東京はチャンスなんじゃないかな?

マスイ あー、そんななかで僕、言いたいことがあります!
リオオリンピックの閉会式で〈ファセッタズム〉の落合宏理くんも衣装を担当したでしょ?
椎名林檎と同じくらい、もっと大々的にメディアは取り上げてほしかった! 〈ファセッタズム〉はLVMHが主宰する若手クリエイターのファッションコンテストのファイナリストにまで上り詰めたんだから、それも合わせてメディアが取り上げないと!!
日本におけるファッションの立ち位置の低さを感じて悲しい。ファッション都市としてもっと盛り上げていきたい。

 

GINZA ちなみにご自分で実際によく着ているブランドは?

五十君 私は〝いぶし銀の服作り〟という感じの〈ミヤオ〉(6)をよく着ます。

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6.「服とは着る人との共同作業によって完成する」をコンセプトに、2010年デザイナー宮尾史郎が立ち上げたブランド。エディターに愛用者が多い。

 

廣田 〈ミヤオ〉はパリの「コレット」にも置いてあったよね。伊勢丹の「リ・スタイル」にも。私は〈サカイ〉が多いです。それに〈アカネ ウツノミヤ〉。

五十君 今日はいてきた刺繡入りのパジャマパンツは〈ファセッタズム〉。マスイさんと、偶然にもおそろい。

マスイ そうね、僕も〈ファセッタズム〉はよく着る。〈ダブレット〉というメンズブランドも。2016-17年秋冬シーズンは、〈ケイタ マルヤマ〉のピンクファーの立体的な猫ストールを買ったよ!

廣田 その敬太さん然り、今、90’sリバイバルの流れが来てるから、その時代からコレクションを発表しているデザイナーは格別、人気があるよね。〈ヨウジヤマモト〉は国内外で売れているし、〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉をおしゃれに着こなした若者もどっと増えた。

マスイ そうね。さらにさかのぼってクラブシーンからインスパイアされる人も増えてきたから、90’sブームも来始めてるでしょ。僕は〈ミチコ ロンドン コシノ〉(7)に注目してる!

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7. 80〜90年代に人気を博した〈ミチコ ロンドン コシノ〉のロゴアイテムが今、再びおしゃれキッズの間で大ブーム。

 

廣田 原宿あたりの若い子がロゴ入りの古着を着ているのを目にするよ。手に取りやすい価格帯っていうのもいいみたいね。

マスイ 当時の値段と今も変わらないそうだよ。それってすごいよね。余談だけどこの前、ロンドンのクィーンズパークにあるアトリエの1階にオープンした寿司バー「ミチコ スシノ」にも行ってきたばかりよ。

GINZA 逆にデビューしたばかりのブランドや、まだ知名度はそこまで高くないけれど気になる注目株も教えてください。

五十君 プロダクトっぽい切り口が面白い〈ヨウヘイ オオノ〉(8)、元トーガの企画チーム出身者が手がける〈ナイフ〉(9)ですかね。

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8. 1986年生まれの大野陽平が、2014年に設立。ボンディングのテクニックを使ったウェアが注目される。今年の『TOKYO FASHION AWARD』受賞者。

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9. デザイナーは〈トーガ〉の企画チームの一員として経験を積み、2015年に独立した梶永真治。ブランドコンセプトは「ストレートに、大胆に」。

 

マスイ 最近、〈ディーゼル〉ともコラボしていた〈コイケ〉、母と息子の異色デュオが手がけるニットブランド〈リョウタ ムラカミ〉。外国人バイヤーにどうなの?ってよく聞かれるのは〈99%IS-〉(10)ですね。ねえ、ところで今、イケメンデザイナーは誰なの?

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10. 韓国・ソウル出身、デザイナー、バジョウが2012年に立ち上げたメンズブランド。ロックを背景にしたストリートスタイルを発表している。

 

廣田 おお、ガールズトークっぽいネタ(笑)。〈ファセッタズム〉の落合さんかな。

五十君 オートクチュールを発表している〈ユイマ ナカザト〉の中里さんも。〈サルバム〉の藤田さんが痩せると松田翔太っぽい?

マスイ じゃあ読者の皆さんはそこにも注目してくださいってことで(笑)!

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鋭い分析で時代性とクリエイションを説く

ジャーナリストチーム

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廣田悠子
(WWDジャパン記者)

記者歴10年半の中堅どころ。国内外のデザイナーに緻密な取材を重ねている。最近のコレクション取材はNYを担当。

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五十君花実(いそぎみ はなみ)
(繊研新聞社記者)

東コレ担当歴8年。ショーのみならずストリートに地方の面白ショップまでミーハー精神で守備範囲広く、取材。

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マスイユウ
(ファッションジャーナリスト)

世界中のファッションショーを取材する、ジェットセッター。スタイルアイコンなる肩書も併せ持つ。ガールズ枠で参戦。

Illustration: Kahoko Sodeyama, Yutaka Nakane
Text&Edit: Kaori Watanabe(FW)