パン×具×つゆだく、三位一体のワンダーランド。- あなたの食「おこだわり」教えてください。大林千茱萸さんのホットサンド編

「そ、そんな細かいところまでこだわる!?」という「おこだわり人」を紹介する人気マンガ『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(清野とおる著/講談社)に深く敬意を表し、険しく高い「食の道」を究めんとする人々の「おこだわり」を徹底調査。


 

パン×具×つゆだく、
三位一体のワンダーランド。
自由で愉しく無限の可能性。
それがホットサンドの魅力

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大林千茱萸≫
ホットサンド倶楽部部長。本業は映画感想家・映画作家。フランス家庭料理の先生、プロトコール(国際儀礼)のマナー講師も務める。


小学生の時に、友達の家で食べたホットサンドに感動した大林さんだが、次に食べたのはなんと20年後!

「買い物途中に入ったカフェにあって、懐かしさのあまり注文したんです。でもハムとチーズ、ツナの2種類しかなくて、こんなに年月が経っているのに具もまったく進化していないし、なんだか古ぼけたトホホな味。ガッカリしたまま自宅に戻り、冷蔵庫の食材を眺めていて、何となくパンに残り物の焼きそばを挟んで、フライパンで焼いてみたら、あれ、美味しいぞ。次にチヂミや春巻きにもトライしてみたら、ウマ、ウマ過ぎる!

もしやホットサンドってめちゃくちゃ可能性無限大ではと思い、すぐさまホットサンドメーカーを購入して、いろいろな具を試すようになったんです。定番の既成概念を外し、いかに美味しさに素直になれるかが勝負。和食や中華、味噌や天つゆとの相性は抜群です」

ドハマリした大林さんは、愛好家サークル「ホットサンド倶楽部」を立ち上げ、部長としてFacebookで創作レシピを発信している。今までに試したレシピは、なんと2000種類以上!

「基本的に同じものは二度とは作らないので、食材の数だけ無限にアレンジできます。もちろん食材の組み合わせも大切ですが、それよりもちょっとしたコツで美味しさが何倍も変わってくるんです。一番重要なのはパンと具材の一体感。そのためにフタになるパン自体にも味付けしたり、〝部長盛り〟と呼ばれるくらい具を盛り込んだり。あと見た目は美味しさに比例するので、カットした時に美しく見えるように盛り付けるのもポイントです。パンは食べられる皿と思って、基本何をのせてもOK。夕食で残ったおかずや、硬くなった餅菓子だっていいんです。残り物って捨てられる運命にあるものが多いけれど、もう一度美味しく食べられるし、食材を無駄にせずに済むので、一石二鳥。そんな懐の深さも好きですね」


天ぷらから、酢豚、柿&生ハムまで。
大林さんに挟めないものはない!

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直火式の場合は、こんがり焼ける8枚切りのパンがベスト。ツユやソースは、隅っこまでしっかり塗ると、パンと具がよくなじんではがれにくくなる。

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端っこがスカスカだと、味にバラつきが生まれるので、パン全体に具を重ねて盛り付ける。切る向きを考えながら重ねていくと、キレイな仕上がりに。

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大林さん愛用のホットサンドメーカーは、ブラジル生まれのバウルー。ガスの火で焼く直火式で、内部の蒸気を適度に逃がし、サクッと焼け上げるのが特徴。


天ぷら盛り合わせ

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ベースとなるパンには、天つゆをたっぷりと浸したお好みの天ぷらをのせる。フタにも天つゆを塗ると、蒸気でふわっと仕上がる。

黒酢の酢豚

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酢とパンは合わないというイメージを払拭。バランスよく豚肉を並べ、彩りのある野菜は中央へ。余った酢豚のタレは、フタに塗る。

柿+クリームチーズ+生ハム

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生ハムで柿を巻いてのせると、嚙んだ時に甘さと塩味が合わさる。クリームチーズのほか、レーズン、ナッツも散らして。

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カットした時の色のバランスを考えながら盛り付けるべし。

 

Photo: Yoko Tajiri
Text&Edit: Emi Suzuki
Illustration: Kahoko Sodeyama
Cooperarion: Chiho Ohsawa, Nami Inoue, turedurehanako

GINZA2017年1月号掲載