「そ、そんな細かいところまでこだわる!?」という「おこだわり人」を紹介する人気マンガ『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(清野とおる著/講談社)に深く敬意を表し、険しく高い「食の道」を究めんとする人々の「おこだわり」を徹底調査。


 

ただ搾っただけでは
この味はでません。
うちのレモン酒は
3カ月寝かせてます

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小山内耕也≫
「蓮香」のオーナーシェフ。麻布十番の名店「ナポレオンフィッシュ」の料理長を務め、2015年に独立し、同店を12月にオープン。


恵比寿と白金を結ぶ305号線沿いにオープンした中華料理店「蓮香」のウワサを最近よく耳にする。「駅から遠くて行きづらい場所にあるのに連日満席で、〇〇さん(著名人)も常連らしいよ」「コース一本のみで、当日まで何が食べられるかわからないんだってー」などなど。そんな中、一番気になったのが「中華料理店なのにレモンサワーがすごく美味しい」という情報。これは調査せねばと、すぐさまお店へ向かい小山内さんに伝えると、

「そこなの? まさかレモンサワー、ピンポイントで取材が来るとは思わなかった……。でもたしかにうちのはウマいよ。秘密を知りたいの? どうしよっかなー」

と、とってもお茶目。厨房に戻り、引き出しをごそごそ。そこから出てきたのは、4L入る大きな瓶。レモンがぷかぷか浮いている。 「秘密はこれかな。自家製のレモン酒。っていってもキンミヤ焼酎に、レモンの皮を剝いてカットして漬けただけだけどね。でもこれを3カ月寝かせるの。そうするとレモンのエキスが凝縮され、まろやかな酸味が際立つようになるんだよね。あと隠し味に、フランス産のリキュールも入れているかな

なるほど、ウマさの秘密は3カ月寝かせることにあるのか……。でもなんでそこまでしてレモンサワーに全力投球?

「俺が単純に好きだから。レモンサワーってどこにでもあるけれど、唸るほどうまいと思ったものを飲んだ経験がない。コンク(レモンシロップ)を入れたり、製氷機の氷を使ったりしているから、ケミカルな味がするんだよね。あれじゃ美味しくないし、悪酔いすると思う。だから焼酎自体に風味をつけて、酸味、旨味、香りが三位一体となったレモンサワーを作ったんだ。たしかに今まで考えたことなかったけど、うちは一日フルで20名程度のお客さんが来店されるんだけど、それなのに月600杯もレモンサワーが売れるって、すごいことだよね」


夜な夜なグルメ通が集う中華料理店の
レモンサワーが恐ろしくウマいワケ

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溶けにくく、味が薄まりにくいかちわり氷をグラスいっぱいに入れる。ちなみに製氷機の氷は、カルキ臭が強いので、繊細な味わいのサワーなどには不向き。

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レモン酒を注ぎ、〈ウィルキンソン〉の炭酸を注ぐ。この時、マドラーでゆっくりと1〜2回かき混ぜて上にあげる。かき混ぜ過ぎると氷が解けやすくなるので注意。

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風味付けに半月レモン1つを搾ってサワーの中に入れる。この時に、グラスを回転させながらレモン汁をフチにつけると、さらに酸味と香りがアップする。

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6Lの〈キンミヤ焼酎〉に対して、30個のレモンを漬け込む。お菓子などに使うリキュール〈コアントロー〉は適量。これを入れると、グッと華やかな香りと奥深い味わいになる。

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極上レモンサワーは強めの炭酸と、爽やかな酸味のレモン酒がベストマッチ。そのほかレモン酒をジャスミンやコーラで割ったものもあるが、サワーがダントツで人気。各¥700

Photo: Yoko Tajiri
Text&Edit: Emi Suzuki
Illustration: Kahoko Sodeyama
Cooperarion: Chiho Ohsawa, Nami Inoue, turedurehanako