12月23日公開の映画『土竜(モグラ)の唄 香港狂騒曲』に出演している岩城滉一さん。岩城さんといえば、本業である俳優もさることながら、趣味にものすごい情熱を注ぎ込んでいるイメージがあります。別世界の住人のように思いがちだけど、働きすぎといわれている今の若い世代こそ、実は岩城さんに学ぶべきものがあるんじゃないか?

 

そんな思いを胸にインタビューを敢行しました。実際、趣味と仕事のバランスってどうなんですか?

「昔は趣味が完全に優先してたよね。ウェイクボードで理事をやらされたりもしたから、大変っちゃ大変だった」

 

ぶっちゃけ、疲れなかったですか?

「むしろ、仕事だけやってるほうが大変だと思うよ。台本を覚えて頭だけ使ってると、神経がピリピリして、寝てても休まらないみたいな感じがするんだよね。趣味で体を動かしていると、肉体的には疲れるけど、そっちのほうがストレスたまらないんじゃない?」

 

なるほど。仕事と趣味、両方ちゃんと回していかないと、肉体と精神のバランスがとれなくなるんでしょうね。

「仕事と趣味って、どっちが大事かということじゃないと思う。僕らみたいな職業は、自分あっての仕事じゃない? 趣味っていうのは自分をつくってるわけだから、趣味を無視することはできないよね。だから、趣味と仕事って切り離されたものじゃなくて、実はつながっていると思うわけ。僕はよく『趣味のない人間はつまらない』って言うんだけど、それは趣味だけの話じゃなく、結局は仕事にも影響してくるような気がする」

 

そんな岩城さんが今、一番エネルギーを注いでいるものは?

「女だね。遊びに行っても、やっぱり女の子がいないとつまんない。野郎同士で遊んで楽しい時期って、もう終わっちゃったよね」

 

ある意味、『GINZA』よりも銀座を知り尽くしてそうな岩城さんですが、夜の銀座には今どれくらい通ってますか?

「そんなの数えないでしょ。(近くにいたスタッフに)あなた、給料いくら? 40万? それだとボトル入れたら一晩でなくなるよ。まあ普通の人は行けないよね。一晩でそんなにお金を使うなんて、普通だったら値打ちがないんだよ。でも、普通じゃないから値打ちがあるんじゃん? バカみたいな金なんだよ。なんでそんなムダなことするのって思うよね。でも人間って、ムダも授業になるの。これは年を取っていえるようになったことなんだけど」

 

昔は見えなかったものが見えてきた?

「若いうちはいろんなことを考えて悩んだりするけど、ずっと生きていると『結局こうなんだな』ってわかってくる。どういうふうに話したらよかったのか。どういうふうに仕事をしたらよかったのか。どうやって生きたらよかったのか」

 

生き方が上手くなったということ?

「上手くなるんじゃない。生き方を合わせないで済むようになるということ。若いときは自分の場所がつくれないから、必死になってつくったような気になっちゃうんだけど、そんなことをしなくてもよくなるわけ。だから、ムダなことを省いていくのが年を取るってことなのかもしれないね」

 

仕事や趣味の話ばかりしてきましたけど、夫婦関係も年を取ることで見えてくるものがあるんですか?

「夫婦ってね、初めの10年は愛なの。20年目はお金。家や子育てにお金がかかるから。30年目になると女房が上から目線になってくるから、妥協が入ってくる。40年目になると、あきらめだよね。お互い『勝手にやればいいじゃん』って。それが50年目になると、感謝になるの。『今までいろいろやってくれてありがとう』っていう関係。今の俺たちがそうなんだけどね」

 

昔も今も、ずっと人生を楽しみ続けているように見えるのは、経年変化を楽しむ余裕があるからなのかも。

岩城滉一 Koichi Iwaki

1951年、東京都生まれ。75年、映画『新幹線大爆破』でデビュー。俳優業のかたわら、レーサーとしても活動。現在はレーシングチーム「チームイワキ」の選手兼監督としてバイクレースに出場している。最新作『土竜の唄 香港狂騒曲』が12月23日に全国東宝系で公開。

Photo:Shunya Arai (YARD)
Text:Takahiro Maeda

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