オシャレ心を刺激する大人のクローゼット


念願だった自分の店をようやく開いた人、
長い間、粛々と同じ場所で商いを続ける人、
いくつもの店を切り盛りする気配り上手な人。

働く人の想いや店に集う人の個性が交じり合い、あたたかな人となりを感じる店が、ここ東京にはいくつもある。不器用でも、ひたむきにモノと向き合い続けるその姿にすっかり魅せられたエディターYが、西へ東へと大奔走!

愛すべき「店と人」を応援する連載第2回です。

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vol.2 

「Hooked vintage」

安藤 公祐さん・小葉さん


ここは渋谷と表参道の間にあるオフィス街。
4月始め、身近な知り合いだけに声をかけ、ひっそりとオープンした店がある。
それが〈Hooked vintage(フックド ヴィンテージ)〉。
中目黒のヴィンテージショップ〈ジャンティーク〉から独立した安藤公祐さん・小葉さん夫婦が切り盛りする店だ。
駅からのアクセスを考えるとお世辞にも便利とは言えない立地にあるにも関わらず、休日には客足が途絶えず、店内は賑わっていた。口コミとSNSを通じて瞬く間にその名を広めつつある注目のショップ〈Hooked vintage〉。その店づくりのこだわりとは?
日を改めて再訪したある日の午前、さわやかな朝の光が差し込む明るい店内で二人に話を伺った。

 

働き慣れた中目黒からの独立

「実は(前職〈ジャンティーク〉の)お客さんへのご挨拶もそこそこに、勢いよく独立したんです。フミちゃん(元〈ジャンティーク〉バイヤーの内田文郁)が自身のブランドを立ち上げた時のように、私も思い立ってからの行動が早い。2014年に〈FUMIKA UCHIDA〉が始動し、フミちゃんから〈ジャンティーク〉を託されてからの数年は「お店の顔に泥は塗れない!」という一心で、がむしゃらに走ってきました。当時は、自分たちの今後のビジョンなんて考える余裕がなかったんです。ただ、もし自分のなかに“〈ジャンティーク〉とは違う構想”が芽生えることがあれば、その時はすぐに相談しようと思っていました。新しいアイディアが浮かんだ際に心の中でフツフツと計画を進めるなんて、家族のように大事にしてくれた人たちを裏切るみたいで嫌だなって。そして、そんな新しいことにチャレンジしようと思い立ったタイミングが昨年の暮れだったんです」

IMG_0793ショップのジュエリーコーナー。存在感のある大ぶりのシルバージュエリーが並ぶ。

 

モノ本来の味を生かす、手を加えすぎない店づくり

「物件が決まったのは、オープン前1ヶ月を切っていました。買い付けに行く時間はなかったので、現在お店に並んでいるものは私物の一部でもあります。主人は店舗の内装仕事を請負うこともあったので、お店の内装関連に関しては基本的にお任せ。ただし、これは服にも家具にも通ずることですが、古いモノってそれだけでフォトジェニックに映るので余計な手は加えなくてもいいとも思うんです。多少アレンジしたことと言えば、壁をグレーに塗り、フィッティグ&鏡を入れたこと。ネイビーとブラックの差や、グリーンの具合など、店内に並べた服の色がきちんと分かるのが気に入っています。店内の照明はオレンジの電球だけでなく、青っぽい白熱電球をいくつか混ぜて色味を調整しているんです」

 

駅前の喧騒とは無縁?! 青学~渋谷2丁目エリア。

「買い付けが頻繁にあること、大きな什器や家具を取り扱うこと。これらの条件を考えると店の間口の広さは必須条件。立地に関して、強い希望があって決めたわけではないのですが、もはやここしかないという限られた状況だったのでやっていくうちになるようになるかな…と(笑)。 プライベートでも引っ越しは好き。その街に住むことで意外とその土地のことが好きになるんです。店が駅から少し遠いのはお客さんに対して不親切かもしれません。ただ、お客さんの中にはこの店を目掛けて来てくれる人のほうが多いので、わざわざ来てくださった方にきちんとした接客ができる、心と時間の余裕があるのはいいですね」

IMG_0778店奥の家具・雑貨スペース。什器や内装の管理は主に公祐さんが担当する。

 

〈Hooked vintage〉のこだわり。

「基本的に洋服はレディースもの。女性が着て似合うものであればメンズも展開していく予定ですが、女性のための服屋であることを強みにしたいですね。フィッティングの際に周りの目を気にしなくてもいい空間を作りたいんです。例えば背中がすごく空いている服を着るとブラなんかが見えてしまうから、日本人の女のコは恥ずかしがって(試着室から)出てこられないですよね。『そこは安心して出てきてください』って言ってあげたいし、『インナーは水着がいいんじゃない?』なんて提案を声を大にして言ってもなんの後ろめたさがないのもいいですね。世の中的にヘルシーが良くて、セクシーはタブーな風潮がありますが、それがいけないことではない!ということを言いたかった。“女性にしか分からないセクシャルさ”を謳いたかったんです。今後は主人がセレクトした珍しいヴィンテージアイテムを置くこともあるかもしれませんが、基本的には女性が自由なファッションを楽しめるような服屋を目指しています」

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オープンは12時~19時、不定休。

「他のお店よりは営業時間が短いかもしれません。わたしたちとしては、19時になったら自分たちの気持ちをオフモードにしてもいいのかなって。世の中的にもそういう風潮があるかとは思いますが、『私生活は大事に、みなさん夜は帰りましょう』と(笑)。わたしたちも仕事と家庭のバランスは大事にしています」

 

5月、初めての買い付け(お店もお休みします!)

「今は私物ということもあってサイズが限られていますが、もっとサイズ展開を増やして振り幅を設けたいのと、一つひとつ想いがあるものを買い付けてきたいですね。基本的にコンセプトは変わらず、私物を買うくらいの想いのあるセレクトを心がけています。今の客層はファッションを知っている、感度の高い人が多い印象ですが、「今から初めて古着を着ます!」っていうお客さんも大歓迎。そういう方向けのラインナップを外さないようにしていきたいです」

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古着を楽しむ女のコたちは、みんな可愛い!

「古着は比較的クオリティが高いモノが多いので、よっぽど変なものを選ばない限り、長く保ちます。素材はポリエステルではなく、コットンやリネン、シルクなど自然素材のものを意識していますね。新品のお洋服より長く付き合えるものが多いと思いますよ。余計なことをしなくてもその服に魅力がある。ヴィンテージは服自体に力があるんです。それに、アジア人って服が似合うと思うんです。特に東京で見かける女のコのアベレージはとても高いと思うので、自信を持って服を着て欲しいですね。確かに、生まれ持ったポテンシャルの部分では欧米人よりハンデがあるかもしれない。ただ、そこからの追い上げがすごい。自分に似合うものへの探究心や、似合う自分であることへの努力をしっかりしています。そんなみんなに似合うものを買い付けていきたいですね」

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安藤 公祐 Kosuke Ando
安藤 小葉 Koyou Ando

ともに宮城県石巻市出身。中目黒のヴィンテージショップ〈ジャンティーク〉のショップスタッフ、バイヤー、店長を経験したのち、2017年4月に独立。現在、渋谷の外れにて洋服や家具、生活に関わるモノを扱うヴィンテージ・セレクトショップ〈Hooked vintage〉を運営。
公祐さんは〈ウチダ フミカ〉デザイナー内田文郁さんの実弟。

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Hooked vintage

東京都渋谷区渋谷2-12-6
12時~19時 不定休
www.instagram.com/hooked_vintage/

エディター 山本香織

連載スタートから早半年。よ~~やく第2弾をアップしました。
素敵なお店は多々あるものの、日々の業務に追われて…ごにょごにょ。これではいかん。『ムーブメントのはじまりはストリートから』を信条に、テンポよく(店だけに☆)アップしていきますよ~。次回もお楽しみに。

Text:Kaori Yamamoto