オリジナル写真集としては、2013年に発表した「あめつち」から4年ぶりとなる全点デジタルで撮影された、川内倫子の最新写真集「Halo」が発売。発売を記念して、現在都内2カ所にて写真展を開催・会場にて写真集の先行発売を行っている。

銀座・森岡書店ではプリント作品をメインに発表。恵比寿・POSTでは、写真集に並んでいる写真に写るシーンが動画で公開されている。本邦初公開の映像なので、ぜひ実際にその光の美しさ、躍動感を感じてほしい。

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銀座・森岡書店

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恵比寿・POST

今回展示している作品「Halo」の名称は二つの意味を持つ。その一つとして、後光、円光、または太陽・月の周りに現れる光の輪などを意味する。文字通り、POSTで流れる映像にも異なるシチュエーションでの光が映し出され、どれも都会では見落としてしまいそうな美しい光なのである。

1つは中国の河北省の村で300年以上続く「打樹花」。毎年元宵節に開催される祭りで、溶かした液状の鉄屑を壁にぶつけ、辺り一面に光の雨が降り注ぐ。火花をぶつける男たちの勇ましさは、映像を通して感じ取れる程迫力のあり、輝く火花により非現実的な風景が映し出されていた。そしてもう1つの神秘的な風景は10月に出雲大社で執り行われる「神迎祭」でも描かれる。八百万の神々を迎えるため、夕刻、 稲佐の浜で御神火が焚かれる。参拝者が見守るなか夜の海には雨粒が光る。IMG_3737

そんな躍動的かつ美しい情景がパタリとやみ、展示されている写真に写る無数の鳥が飛び立つシーン、樹木に揺らめく光など自然そのものを映し出した光景が広がる。無数の鳥が旋回する作品は、2010年のブライトン・フォトビエンナーレのコミッション・ワーク以降も撮影を続けているイギリスで撮影されたもの。

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IMG_3735展示作品ともに映像を見ていると段々と「打樹花」で飛び散る火花と急に羽ばたき旋回する無数の鳥の姿は、どこか似ているように感じてくる。一方は暗闇の中で光る粒、一方は暗闇に写る影の粒。そして樹木に揺らめく光は、神迎祭で八百万の神と関係しているように、自然のものすべてには神が宿っているという日本独特の人間と自然の関係性も浮かび上がってくる。

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銀河系にある小さな星の、さらに小さな生き物たちはきょうもそれぞれの役割をまっとうしている。

太陽の光のなかで。薄い氷の上を歩くようなバランスで。祈るようにして美しいものを探しながら。
それぞれの領域を、幾重にも重なるなにかに守られながら。 −−− 川内 倫子

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これまでの作品にも表現されてきた、光と闇、生と死など川内倫子独特の視点から切り取れた風景はすべて美しく、どこか儚く、時間も場所も忘れてしまうような世界観が広がる。たとえ一見相反するものが配置してあっても、どこかリンクしているように感じさせる。

そして本展では、写真での力強さ、写真集のレイアウトの面白さ以外にも初公開の映像からより一層彼女の一貫してきた表現が感じ取れる。

最終日にはクロージングトークイベントも開催するそうなので、実際に本展・写真集について話を聞ける貴重な機会をお見逃しなく。

 

出版記念写真展
2017年6月27日(火)─ 7月16日(日)
会場:森岡書店銀座店(東京都中央区銀座1-28-15鈴木ビル)
2017年6月30日(金)─ 7月23日(日)
会場:POST(東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3)
以降、巡回の予定(他、イベントも予定)

 

クロージングトークイベント

川内倫子 x 濱田祐史 x 森岡督行(森岡書店) x 中島佑介(POST)
7月16日(日)14:00~(受付13:30)
会場:森岡書店
参加費:1500円
(川内倫子写真集『Halo』を、森岡書店もしくはPOSTにてご予約の方は参加無料)
要予約(電話にて承ります)
森岡書店 03-3535-5020

 

書籍情報
タイトル:Halo
写真・テキスト:川内倫子
デザイン:ハンス・グレマン
定価:7,800円(税別)
判型:315 x 230 mm/帯状ケース付き(箔押し)
ハードカバー/96ページ(カラー図版48点)
テキスト:日本語
発行元:HeHe
*本書は、アメリカ・Aperture社との共同出版です。
発行日:2017年8月
ISBN978-4-908062-19-3 C0072

 

川内倫子(かわうち りんこ)
1972年滋賀県に生まれる。2002年『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。著作は他に『AILA』(04年)、『the eyes, the ears,』『Cui Cui』(共に05年)、『Illuminance』(11年)、『あめつち』(13年)などがある。09年にICP(International Center of Photography)主催の第25回インフィニティ賞芸術部門受賞、13年に平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学新人賞、第29回写真の町東川賞国内作家賞を受賞。主な個展は、「AILA + Cui Cui + the eyes, the ears,」カルティエ財団美術館(05年・パリ)、「AILA + the eyes, the ears,」ハッセルブラッド・センター(07年・イエテボリ、スウェーデン)、「Semear」サンパウロ近代美術館(07年・サンパウロ)、「Cui Cui」ヴァンジ彫刻庭園美術館(08年・静岡)、「照度 あめつち 影を見る」(12年・東京都写真美術館)、「Illuminance」(15年・KUNST HAUS WIEN GmbH、ウィーン)、「川が私を受け入れてくれた」(16年・熊本市現代美術館)ほか多数。
www.rinkokawauchi.com

Ginza_WEB_アート_倉田さん
Yoshiko Kurata

1991年生まれ。魚座。プロデューサー/コーディネーターとして百貨店・ファッションブランドと仕事をしているほか、雑誌「QUOTATION」などでライターとしても活動している。学生時代に夢中になったロンドンや東京のファッションから影響を受け、ファッション、カルチャー、フォトグラフィーなどを体系的に考えるのが好き。最近見に行った展示は、小林健太 / Wolfgang Tillmans / BALENCIAGA 展覧会。
http://yoshiko03.tumblr.com/