ワタリウム美術館で始まった、バリー・マッギーと妻クレア・ロハスとの展覧会。お互いの制作について聞いてみました

ワタリウム美術館で始まった、バリー・マッギーと妻クレア・ロハスの展覧会。1人ではなく2人。お互いの制作について訊いた。


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オープニング前だからか、終始目をキョロキョロとさせ、落ち着きのない様子のバリー・マッギー。安堵の表情を見せたのはパートナーであり、今回の展示の相方でもあるクレア・ロハスが会場に姿を現してからだった。クレアはアーティストでもあり、また「ペギー・ハニーウェル」という名前で活動するミュージシャンでもある。オープニングだったその日も、パフォーマンスを行う予定だった。ハグをして、リラックスした様子のバリー。会話も自然に弾み始めた。

「日本での展示を、10年後ぴったりに行おうと計画していたわけではまったくなくて、本当にたまたまなんです。もちろん、こんなふうに同じスペースで、それにクレアと一緒にできることはとってもうれしいです」と笑顔で話すバリー。

「私たちはこれまでにも、3回ほど一緒に展示をしてきました。スペースによって作品は変わるので毎回新鮮で、面白いです。壁に描いてあるものは、すべてこの場所のために制作しました」とクレア。

会場では2人の作品が混ざり合って飾られている。作風は異なるが、色彩、ブラシのストローク、構図など、どこか似ているテンションを感じ取れる。

「制作へのアプローチがまったく違うんです。作業する場所も別々です。なので、家で2人のとき、特に寝る前などに、一緒に取り組むプロジェクトについて話すのがとても楽しかった。うっすらとプランを立ててはいたんですけど、いざ会場に来るとやっぱりその通りにはいきませんよね(笑)。でも、お互いの作品同士が会話をしているようにイキイキしていてとってもいい空間になったと思います」

一方バリーは「10年前の展示は僕ひとりでやったものでした。当時は今のファシストを代表するような、後退的なアメリカ政権ではなかったですし、もう少し前向きだったかもしれません。今は小さなコミュニティ、アーティストやライター、気の合う仲間と力を合わせることが、より一層何かをする上で大切なことだと思っています。だから、そういった意味でも今回の展示をクレアと一緒にできたことはとてもうれしいです。彼女の作品は最高ですからね」と、あらためて10年という時間の経過と、それに伴う変化を実感しているようだった。

クレアが描いた、綺麗な色彩の抽象的なミューラル。その隣に積み上がる、バリーらしいカラフルな模様の作品。2人だから作り出せた、心地いい〝会話〟は観る人を力強くするパワーがあった。

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クレア・ロハス≫ 1976年、オハイオ出身。多様な手法や色彩を基調とし、民芸から影響をうけた柄や模様を使用した作風が特徴。ペギー・ハニーウェル名義で歌手としても活躍する。

バリー・マッギー≫ 1966年、カリフォルニア出身。グラフィティでは通称「ツイスト」という名で活動する人気作家。ベニスビエンナーレにも出品するなど、その作品は幅広く評価されている。

 

バリー・マッギー+クレア・ロハス展『Big Sky Little Moon
開催中〜10月15日/ワタリウム美術館

Reborn-Art Festival 2017
開催中〜9月10日/宮城県石巻市(牡鹿半島、市内中心部)

Photo: Kenji Nakata (portrait), Noriaki Imai (exhibition)
Text: Mayumi Yamase

GINZA2017年9月号掲載