MENS ROAD~麺道」「松尾モード学園」。2014年秋、GINZA編集部Sは松尾スズキさんに新連載の内容をプレゼンしていた。しかし反応は鈍く(当たり前だ)、松尾さんはこいつにまかせていたら埒が開かん、と思われたのか、「今年結婚したし(「普通自動車免許を持った一般の女性と結婚(松尾氏twitterより))、妻との生活をたんたんと綴る私小説的なものはどうかな」とおっしゃった。そ、そんなプライベートなことを書いてもらえるんですか!  読みたい!   私は色めきだった。さらにポツリと「タイトルは『東京の夫婦』というのは?」。東京発のモード誌GINZAにはこれ以上ない、ぴったりの素晴らしいタイトルだ。 さっそく、連載が始まった。

 夫婦間の放屁問題から、(あえての)ハワイへのハネムーン、喜劇人ならではのプロポーズ、実母の介護、子供を産まないという選択とそれを受け入れた妻への思いまで、諧謔的で赤裸々な描写に笑い、ときに二人の前にたちふさがる世間という名の理不尽さに憤り、ときに夫婦というやっかいだけれど一人では味わえない醍醐味に感じ入る……。

 毎月15日。松尾さんから届く原稿を読むたび、いろんなことを考えた。夫婦や家族はきれいごとばかりではないし、社会もそんなに優しいわけじゃない。けど、そういったことを松尾さんがそっと教えてくれるだけで、「明日もなんとかやるかぁ」と気持ちが軽くなった。夜中に原稿を読んだ編集長から「いや、今月も本当に沁み入ったわ」と連絡が来ることもあった。もちろん読者からもたくさんの暖かい感想が届いた。

 そんな連載も気がつけば約3年ということで、このたび単行本として弊社より発売されることに。  33回の連載がまとめて読めるのはもちろん、単行本のための書き下ろし「AFTER STORY」が入っていて、これがまあ間違いなく世界で一番素敵なラブレターになっていて(一行目を読んだ時、私は震えた)、これを読むだけでも価値があると思う。てなわけで独身の方も既婚の方も以前していた方もそろそろやめようかなという方もみなみなさま、ぜひ手にとっていただきたいわけであります。(担当S)

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帯コメントは星野源さん。

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イラストは近藤ようこさん。連載すべてのイラストを収録してます

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 表紙写真は平野太呂さん。「東京」をお題に撮っていただきました

Ginza_WEB_04_Sさん
男子部S

GINZAで唯一の男性編集者。連載「岡村靖幸 結婚への道」も担当していて、ここ数年ずっと「結婚」や「夫婦」にゆかりのある仕事多し。そこで学んだことをプライベートにフィードバック・・・できてませんっ。

Photo:Kanna Takahashi