その名は〈シャネル N°5 ファクトリー 5 コレクシオン〉。世界一有名な香水の“5度目の二十歳”を祝う今だけの限定プロダクツ。 1人1人の女性のために生まれた、唯一無二のアートピースを。
〈シャネル N°5 ファクトリー 5 コレクシオン〉唯一無二のアートピース
誕生100年を記念して、オイル容器や絵の具チューブ、靴クリーム缶など、大胆かつスタイリッシュな姿でお目見えした〈シャネル N°5 ファクトリー 5 コレクシオン〉。全17種のスペシャルアイテムは一部店舗にて数量限定発売中。
気になる全貌を公開!
インスピレーションは日々の暮らしで 身近に使うアイテムから。 コレクター魂をくすぐられる 全17種を一挙にラインナップ。
INTERVIEW
『シャネル N°5と私の物語』
「“変わらずに生きていくためには 変わらなければならない”まさにシャネルを表す台詞です」
Photo: ©︎CHANEL
トマ・デュ=プレ=ドゥ=サン=モー
フレグランス&ビューティ/ウォッチ&ファインジュエリー グローバル クリエイティブ リソース ディレクター
エセック経済商科大学院大学(ESSEC)卒業後、名だたるフレグランスメゾンやファッションブランドで研鑽を積む。2008年より〈シャネル〉に。アートや歴史を愛し、読書家でもある。「読書なしでは生きていけないほど。文学は想像力を刺激してくれます」。自身は〈シャネル N°22〉を愛用。
誕生100年をセレブレートする〈シャネル N°5 ファクトリー 5 コレクシオン〉。そこに込められた想いを、パリと東京をオンラインでつなぎ、グローバル クリエイティブ リソース ディレクターのトマ氏にインタビューした。
—驚きに満ちたアイデアはどのように形作られていったのですか?
「歴史を祝うのではなく、今の時代を表現した楽しいオケージョンにしたいと考えました。〈シャネル N°5〉は、装飾が主流だった時代に、まるで工場から出たてのようなシンプルなボトルを採用した、挑発的でラディカルなスピリットを持つ香水です。その理論を少しツイストした表現で形にしたのです。DIYに使う日用品や過剰に存在するものと組み合わせて、ラグジュアリーが誰しもの手に届くものとなれば面白いと考えました」
—それで〝ファクトリー 5 コレクシオン〟を?
「そうです。ファクトリーをアートに持ち込んだのはアンディ・ウォーホルです。ポップアートは大量消費の思想ですよね。そして、この100年でもっとも有名な製品といえば〈シャネル N°5〉です。そのロジックの共通点から、説得力のあるものができあがりました」
—白が強烈な印象を放っていますね。
「〈シャネル N°5〉にはコードがあります。もっともアイコニックな存在であるボトル。そしてラベルに、白と黒の輪郭線。このコードでペンキ缶やオイル容器といったどこにでもあるものを覆うと、はたして〈シャネル N°5〉とすぐに分かるのか試してみました。すべてが完璧にできないと、そのツイストやユーモアは表現できないんです。非常に緻密に作り上げて生まれたものです」
—2018年に発表された真っ赤なパッケージとは真逆のアプローチですね。
「濃密なものを表現するために、もっとも少ない手段でやるのが〈シャネル〉らしさです。ミニマリストではなく、マキシマリスト。赤なら赤だけ、それ以外の要素は排除しました。正反対のように見えますが今回もそれと同じ。ピュアな引き算で最大限を表現しています」
—Z世代にはおそらく初めての出合いとなる人も多いと思います。どんな体験を届けたいですか?
「若い人が『いつか〈シャネル N°5〉に相応しい女性に』とか、『特別な機会につけたい』と話すのをよく耳にするんです。アイコニックで近寄りがたい香水だと。それだけ価値があるのは素晴らしいですが、もっと身近に、日常でつけることができるものだと感じてもらいたい。私の深い確信ですが、何かが生まれるのは〝経験〟からです。それはとても主体的でパーソナルなもの。ですから、つながる手段として日常で使うコレクションを作ることが非常に重要だと考えました。それが価値を生み、〈シャネル N°5〉を生き生きとした存在であり続けるようにするだろうと考えています」
—誰しもの記憶にある香水でも。なぜ私たちは魅了されるのでしょう?
「私も毎日そのことを考えています。メゾンに入る前には定期的に〈シャネル N°5〉を買っていました。それは身につけるためでも贈り物でもなく、手に取って知るため。自分のものとして語りたかったからです。ミューズである多くの女性のイメージとも、映画やアートとも結びついている。多くの人がそうやって〈シャネル N°5〉との物語を欲しがるんです。そんな力を持つ香水は、ほかにはないのではないでしょうか」
—クリエイターとしても〈シャネル N°5〉と向き合うことは挑戦ですか?
「はい、香水だけでなく〈シャネル〉そのものがチャレンジです。どうやって同じストーリーを時代に合った新しい形で語っていくか。多くの歴史と遺産に、恐れを抱かないことが大切だと考えています。あまりの偉大さに怖くなってしまいますが、止まって硬直的に表現してしまうことこそが裏切り。それは私が〈シャネル〉から学んだ最大の教訓です。そうやって変わることを躊躇した時に、初めて歳をとってしまうのではないでしょうか。映画『山猫』(63)に『変わらずに生きてゆくためには、自らが変わらなければいけない』という台詞があります。これはこのメゾンにピタリと当てはまる。革新性を守るためには、決して静止してはいけないのです」
—ガブリエルはアニバーサリーをどう受け止めていると思いますか?
「おそらく、空から喜んでくれているでしょう。〝歴史〟を祝うのは嫌がったでしょうからね。『私の人生は楽しくなかった。だから私は自分で人生を創造したの』という彼女の言葉が好きです。何か気に入らないことがあれば自ら作り変えていく、それが永遠の若さのスピリット。私自身の人生の指針でもあります」