ケトジェニックダイエットとは、糖質を減らし、一定のルールでタンパク質や食物繊維をたっぷり摂る食べ方。脂肪を燃やして“ケトン体”をつくり出す回路を目覚めさせ、脂肪をエネルギーとして使える体質に。
GINZAダイエット部 : まずはベース作り「ケトジェニックダイエット」
ここ数年、ダイエットの食事法のトピックといえば、糖質制限。
「糖質は、体の中でブドウ糖に変わってエネルギーとして使われます。けれど、食べ過ぎると、その余剰分が脂肪に蓄えられる。これが太る仕組みです。だから糖質の摂り過ぎをなくすと、痩せられるんです」(斎藤さん)
でもそれだけではキレイに痩せられないのがオチ。糖質が足りなくなると筋肉を壊して糖をつくる「糖新生」が起こり、筋肉が落ちてリバウンド体質に。そこを補うために、〝糖質カットに必要が増すタンパク質〟を摂ることを足したのが、ケトジェニックダイエット。
「体がエネルギーとして使う優先順位は、糖質、脂質、タンパク質。糖質をカットすると、いつも糖質をエネルギーとして使っていた体は、脂肪酸をエネルギーとして使い、それは一部肝臓で〝ケトン体〟になり脳の栄養に。体脂肪がどんどん燃える。ただし、糖新生のためにはアミノ酸も消費されるので、筋肉中のアミノ酸を使わせないようにするために、食事でタンパク質を多めに摂取しておく必要があります」
ケトジェニックダイエットのルールは、4つ。まず糖質制限。1日3食食べるとして、1食20g以下、ごはん茶碗なら3分の1程度以下に。2つ目はタンパク質の摂取。1日、体重1kgあたり1.2〜1.6g。55kgの場合で、66〜88g。肉・魚なら100gで20gのタンパク質が摂れるが、牛肉の赤身は栄養価が高い点で最もおすすめ。豆腐など大豆製品や卵ももちろんOKだ。3つ目は、1日20g以上の食物繊維の摂取。その量は、大まかにタンパク質と同じと覚えておくと簡単。葉野菜やキノコ類を中心に摂り、糖質が高い根菜類やイモ類には注意しよう。4つ目は、オメガ3脂肪酸の摂取。亜麻仁油やエゴマ油を1日小さじ1杯摂ればクリアできる。また、アルコールは種類を選べば飲んでも良いが、飲み過ぎは脂肪の分解を妨げるので、注意が必要。下のOK、NG食材の表も参考に。
「ケトジェニックダイエットは、初めて行う場合、2週間から長くて1カ月以内。脂肪をエネルギーに変えるケトン体回路へいつスイッチするかは、最初の状態によって変わりますが、だいたい2日〜1週間程度です。それ以上経っても体重がなかなか落ちない場合は、食事内容が間違っていることもあるので再チェックを。また、薬局で手に入る尿検査用試験紙ウロペーパーで調べることもできますが、体組成も目安に。体重が変わらなくても、脂肪が減って筋肉が増えて、体の構造が変わってくるのがはっきりわかるはずです」
ケトジェニックダイエットを始めると、むくみや冷え、便秘が改善、肌や髪がきれいに、疲れにくい体になるといった、うれしい副産物も。
「この食事法は、ダイエットに役立ちますが、最新の栄養学に基づいた方法。きっかけに正しい知識が身につけば、痩せた健康的な体がキープできます」
斎藤糧三さん
医師。日本ファンクショナルダイエット協会副理事長。専門は機能性医学。ナグモクリニック東京院で外来も。
ステーキ、焼き肉や焼き鳥(塩)、水炊き、焼き魚、刺し身、卵、納豆、豆腐、アボカド、グレープフルーツ、葉野菜、キノコ、海藻、ローストアーモンド、ヨーグルト(プレーン)、無糖チョコレート(カカオ比率の高いもの)、ミネラルウォーター、緑茶、無調製豆乳、ウィスキー、辛口ワイン、焼酎、マヨネーズ(全卵・卵黄型)など
白米、パン、麺類、揚げ物、豚の角煮、もつ煮、煮魚、パイナップル、バナナ、ジャガイモやカボチャなど根菜類、甘いお菓子類全般、ドライフルーツ、ガム、煎餅、フルーツジュース(糖質が添加されているもの)、甘い清涼飲料水、スポーツドリンク、ビール、日本酒、酎ハイ、カクテル、ソース類、ケチャップなど
チャレンジは2週間。大好きな赤身の熟成肉を食べに行ったり、お酒もハイボールが飲めたり。「これで本当に痩せる?」と半信半疑だったけど、3日で2.5kg減。すご! 困ったのは平日のランチ。定食屋ならごはんをなくせばいいけど、パッと食べようと思うと炭水化物がつきまとう。メンタル的には何の苦もなく10日を超えましたが、最後の頃は「米が食いたいぜ!」という衝動に駆られました。NG食材を食べても明日からまた頑張れば初期化されないところは救い。サスティナビリティ高い!
手軽さ ★★
効果 ★★★★
茹でささみを塩こしょう、アボカドオイルで。「アボカドは畑のバターです」(斎藤さん)
紅鮭の塩焼き定食。大豆とヒジキの煮物は、根菜を避けるためにニンジンをチマチマ抜いた。
ランチはUrth Caffeでグリルドチキンバジルペーストサラダ。ここはケトジェニック向き。
鶏のみぞれスープ、キャベツのアンチョビ和えなど。「茄子味噌は、砂糖ナシでね」(斎藤さん)
トマトとパセリの白和えや焼きソラ豆など。アラカルトでオーダーできる店、結構使える!
鯖の塩焼き。お店では、「糖質制限中なので」と一言伝えると、意外と協力してくれるところもあったり。
ズッキーニのサラダに焼き鳥は塩。「朝よく食べてるヨーグルトは控えて」(斎藤さん)