流行に惑わされずオーセンティックな美を湛え続ける人がいる。自己満足ではなく、〝誰か〟のために装う人がいる。彼女たちの肩書きは「銀座の高級クラブのママ」。その美しさの鍵、探ります。
銀座ママの美の格言美は飾って作れるものじゃない。
日髙利美さん
「銀座ルナピエーナ」ママ
高級クラブで働く友人の母の煌びやかさに惹かれ、10歳でこの世界に入ろうと決意。18歳の誕生日から銀座で働き26歳で「銀座ルナピエーナ」をオープンさせた。ママになり20年。
流行に惑わされずオーセンティックな美を湛え続ける人がいる。自己満足ではなく、〝誰か〟のために装う人がいる。彼女たちの肩書きは「銀座の高級クラブのママ」。その美しさの鍵、探ります。
銀座ママの美の格言日髙利美さん
「銀座ルナピエーナ」ママ
高級クラブで働く友人の母の煌びやかさに惹かれ、10歳でこの世界に入ろうと決意。18歳の誕生日から銀座で働き26歳で「銀座ルナピエーナ」をオープンさせた。ママになり20年。
「銀座の八丁目から六丁目あたりは村みたいなもの。相知の間柄の人ばっかりですから、この街に足を踏み入れたらしゃんとしますよ。〝あそこのママはだらしがない格好で歩いていた〟なんて言われたら嫌ですから(笑)。寒がらないし暑がらないのも私たちの暗黙のルール。たとえ着物を着ていて中が汗だくでも薄着で体が冷えても、凛と涼しげにしてるのがいい女だって若い頃にお姉さんたちに教わりました。夏の汗対策?汗なんて気合を入れると首から上にはかかないものです(笑)」
ケラケラと笑うのに、クリーンできちんとした印象を片時も崩さない彼女。その透明感と聡明感は、どこからくるのだろう。
「美しさって〝何もしていない〟ように見える、自然な佇まいの中に宿ると思うんです。お化粧も着こなしも華やかになり過ぎないよう心がけています。だってシンプルがいちばんその人が引き立つ。お店の女の子にも言うんです。ごちゃごちゃアクセサリーをつけないほうがいいって」
そう話す日髙さんの指先に目を向けると、爪は自然な艶を湛えた桜色だ。綺麗に磨かれているがカラーは施していないのがわかる。
「自爪ケアを専門にしたサロン『TAACOBA』でお手入れしてもらっています。女性は美容のためにいろいろとするけれど、そういう努力が透けて見えるようだと周りは興ざめしますよね。水面下の〝あれこれ〟を感じさせないようにすることも、美しい女性の条件だと思います。ちなみに、私だって家に帰ったらまず遠赤外線のマットでせっせと体を温めますし、毎日爪先立ちをして、足の筋肉が衰えないよう努めています。週に1回は目黒にある『トータルビューティーパスート』というエステに通って、リンパマッサージで徹底的に毒素を流してもらっていますしね(そのおかげか18時間飲む日が3カ月続くこともあったけれど、健康診断でガンマの数値が問題になったことはないんです)」
話すほど輝きを増していく日髙さん。美しさに輪をかけるような軽やかな会話術に秘訣はあるのだろうか。
「女性はね、目の前にいる人との会話に夢中になってしまいがち。そうじゃなくて、周りの人にも意識を飛ばしながら話すと空間全体を味方にできるんです。ちょっと遠くに座ってらっしゃるお客さんと、ふとしたときに視線が重なってにっこりとし合ったりしてね。そうやってたくさんの人と楽しいひと時を過ごせるほうが、人生ハッピーじゃないですか」
*掲載の商品はすべて取材対象者の私物です
Photo: Katsumi Omori,Chihiro Oshima(object) Text & Edit: Chihiro Horie