流行に惑わされずオーセンティックな美を湛え続ける人がいる。自己満足ではなく、〝誰か〟のために装う人がいる。彼女たちの肩書きは「銀座の高級クラブのママ」。その美しさの鍵、探ります。
銀座ママの美の格言鈍感な人のほうが長く輝ける。 望月明美さん
「ル・ジャルダン」ママ
漫画家を目指していた学生時代、ネタ探しで始めたスナックでのバイトがこの世界に魅了されるきっかけに。20歳で銀座デビューし31歳でル・ジャルダンを買収。ママ歴は22年。
流行に惑わされずオーセンティックな美を湛え続ける人がいる。自己満足ではなく、〝誰か〟のために装う人がいる。彼女たちの肩書きは「銀座の高級クラブのママ」。その美しさの鍵、探ります。
銀座ママの美の格言漫画家を目指していた学生時代、ネタ探しで始めたスナックでのバイトがこの世界に魅了されるきっかけに。20歳で銀座デビューし31歳でル・ジャルダンを買収。ママ歴は22年。
開店前の慌ただしい時間帯に私たちは店を訪れた。が、その人が現れた瞬間、空気が心地よい緊張感を含むものに変化するのがわかった。弾力のある肌と着物姿でも一目でわかる均整のとれたプロポーション……老舗クラブのママを務める望月明美さん、53歳だ。
「とにかく私、不器用ですから(笑)。お化粧だって上手じゃないのよ。ヘアサロンでセットしてもらっている間に自分でメイクをするんですけれど、髪を引っ張られてるときにアイラインを描いていて、こめかみにまで線を引いてしまったりね。ちなみにサロンは35年の付き合いのあるところ。毎日、下着みたいな格好で行って何も喋らなくても、私らしいスタイルに仕上げてくれます。ただ、普通の美容室とお客さんっていう関係とはちょっと違っていて、去り際に〝ありがとうございます〟と言うのはこちら側。役者さんの楽屋みたいな感覚といえばいいのかしら」
自ら企画し出版した写真集では引き締まったランジェリー姿を披露。そのスタイルから、相当ストイックに鍛え上げていることがうかがえる。
「多くの女性たちに、この業界に興味を持ってもらいたい」という思いから、ル・ジャルダンで働く女性を撮り下ろした写真集を企画し、出版した。」
「着物を着る前に必ず片方の脚を頭のほうへと上げるY字バランスをして全身をストレッチしています。実はアシュタンガヨガを20年、パーソナルトレーナーをつけての筋トレを18年くらい続けています。110キロのデッドリフトも持ち上げられるんですよ。行きつけの美容クリニックもあるけれど、体を鍛え続けることが肌艶にもいちばん効いていると思っています。あとは食べ過ぎない、飲み過ぎないこと。私はお酒が強いわけではないのでアフターはなるべくお客様をなじみの店に誘導して(笑)、こっそりノンアルコール飲料を出していただいたりしています。炭水化物全般は、あまり摂らないようにしていますしね」
着物を凛々しく着こなすコツも気になるところだ。
「何度も着て、慣れることだと思いますよ。着物ってすごく便利。夜中、お腹が苦しくなってきたら中の紐を1本ずつ抜いていけばいいし、妊娠していたって着方を工夫すれば7カ月くらいまで感づかれないようにできるんです。しかも襟元に名刺、袖の中に口紅、帯に携帯電話といろんなものを忍ばせておける。着方もさまざまでしてね。襟を詰めて背中をたわませるのがトラディショナルな銀座流。外の街でも銀座の人はすぐわかります」
33年もの間、この街で咲いてきた彼女の美の流儀は選び取ったことを真摯に突き詰める一途なものに映る。
「器用じゃないから同じことを繰り返してきただけ。そういえばずっと綺麗で頑張り続けているママたちって概してサバサバしてる。私自身、忘れっぽい性格ですし鈍感力だけでここまでやってきたような人間(笑)」
堂々たる美しさは、浮き沈みが激しい世界で逞しく生き抜いてきたメンタリティとも表裏一体。
チョコレート味のプロテインバー
「本当はパンが大好きなんですけれど、体型維持のために我慢(笑)。森永製菓の〈inバープロテイン ベイクドチョコ〉をパンやおやつの代わりに食べています。美味しいし、タンパク質を補給できるところもありがたい」
クレ・ド・ポーの深い赤リップ
「実は昔、コマーシャルに映していただいたこともあって大の資生堂びいきなんです。最近は〈クレ・ド・ポー ボーテ〉の〈ルージュアレーブルn〉の15番を愛用しています。綺麗な深い赤色が、和装をグッと引き立ててくれるの」
ナチュラル系のビタミンサプリ
「ビタミンとミネラルもなるべく摂るように心がけています。毎日、飲んでいるのは〈ゴールドジム〉の〈マルチビタミン&ミネラル〉。着色料や保存料、香料を使っていなくて、100%自然素材でできているので安心できます」
*掲載の商品はすべて取材対象者の私物です
Photo: Katsumi Omori,Chihiro Oshima(object) Text & Edit: Chihiro Horie