10 Jan 2017
あぶらとり紙だけじゃない! 京都ちどりやを訪ねて – ビューティジャーナリスト安倍佐和子さん「ニッポンコスメの底力」

ニッポンを背負い、世界の舞台へと躍進する話題のブランドたち。それらに共通するのは大和魂? あるいはおもてなし精神? 急成長を遂げる革新的ニッポンコスメの仕掛け人と、 その舞台裏をレポート。奥が深いね、ニッポンコスメ。
京都ちどりや
日本古来の植物成分にこだわった
京都発・自然派コスメの礎
代表
堀切朋美
1949年
初代が京都で舞妓(まい こ)さんや芸妓(げい ぎ)さんたち愛用の小物店を創業。
1987年
渡米、NYでメイクアップアーティストとして活躍。多くのモデルや友人たちのスキンケアの悩みに触れ、化粧品作りの道を志す。
1999年
NYでChidoriya corp.を創立。
2000年
拠点を京都に移す。
和服を粋に着こなす、はんなりとした京美人の堀切朋美さん。この秋誕生した「フォーシーズンズホテル京都」では〈ちどりや〉オリジナルのギフトアメニティを展開、外国人観光客からも人気だ。(取材協力: 銀座三越)
メイクアップアーティスト時代にひどい肌荒れを経験。食事を変えた途端に肌がみるみる輝きを取り戻し、「You are what you eat!」(あなたは食べたものでできている)を学んだという堀切朋美さん。化粧品も万が一、口に入っても無害なものであるべきだと考え一念発起。
1999年に、日本古来のオーガニック素材にこだわり、椿油をベースに「アズキの粉と黒砂糖のソープ」を発表した。
「当時はオーガニックという概念さえ定着しておらず、苦労の連続でした。現在は、ユズやヒノキ、米ぬかや月桃(ゲッ トウ)など、日本で親しまれた素材をベースに製品作りを続け、ヒット作にも恵まれるように」
防腐剤や界面活性剤、乳化剤に頼らず、自然素材のみにこだわった製法だから、肌への効果は確か。だからこそ〈ちどりや〉のコスメを一度でも試したことのある人は、その心地良さに虜になってしまうのだ。
堀切さんの審美眼と情熱が見事に昇華したのが、森野吉野葛本舗の協力のもとに生まれた世界初、葛粉配合の〈ちどりやフェイスパウダー〉だ。食材である葛粉を肌に纏(まと)う驚きと感動たるや!
きっと私たちはこれからも〈ちどりや〉を通して日本由来の植物と出会い、その魅力に開眼するのだろう。
世界初!の葛粉配合パウダー
漢方でも知られる葛は奈良の森野吉野葛本舗のもの。天然のマイカ(絹雲母(きぬ うん も))や真珠末(まつ)や珊瑚末とブレンドし、きめ細かく毛穴レスな仕上がりを実現。舞妓さんの間でも評判。フェイスパウダー 7g ¥3,150
ベストセラーを誇る月桃ローション
抗酸化、抗菌作用のある月桃の葉の蒸留水にグレープフルーツ種子エキスを配合した化粧水。肌をしっとり潤し、ニキビを防ぐ。
ピーチムーンハーバルフェイスウォーター 120ml 各¥2,300/240ml 各¥4,300
安倍も愛用のクレンジングバーム
ユズ種子油を配合したクレンジングバーム。体温でとろけ、毛穴の汚れまでオフ。温めたガーゼクロス(¥800)でスチームクレンジングすると透明感もアップ。
クレンジングバーム/ユズ種子油 15ml ¥12,500
Profile

安倍佐和子 Sawako Abe
GINZA連載「今日もコスメを買わなくちゃ」ほか、多方面で活躍するビューティエディター。
Photo: Yuri Manabe
Text & Edit: Sawako Abe
GINZA2016年12月号掲載