働く自分が誇り。でもときどき体と心が息切れするときも……。 そんな頑張り屋こそフィト・セラピー(植物療法)に頼ってみない? 「塗る・飲む・嗅ぐ」という3つのアプローチで 体と心を健やかに、美しく導くBioなお手当てレッスン。
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働く私を慈しむフィト・セラピー〔LESSON 1〕PMS対策を今すぐ -前編-
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-後編-
デニムジャケット ¥130,000、シューズ ヒール2cm ¥69,000(共にアヌーキ | ザ・ウォール ショールーム)/タイツ*スタイリスト私物
PMSはどう避ける? その時期はどう過ごす?
まずしたいのが、どんなときにどんな症状が現れるのか、客観的に自分を知ること。「ときどき無性にイライラして家族に暴言を吐くことがある、と落ち込む人は少なくないのですが、それがPMSによるものなら、人間性というより体の問題。体と心のサイクルや傾向を知れば、必要以上に自分を責めずに済みますし、生活習慣を改めたり、フィト・セラピーを取り入れたりと対策も取りやすくなります」(柏谷さん)
PMSを緩和するために今日からできること
① PMSダイアリーをつけて マネージメントに備える
いつどんな症状が、どの程度起こったか、それに紐づけてどんな出来事があったか、など、体と心の状態を記録する「PMSダイアリー」をつける。基礎体温も記録するとベスト。「専用の日記帳も市販されています。婦人科を受診するときも3カ月分ほどあると役立ちます」(松村先生)
② カフェインと砂糖を控える 摂るなら上質なもの
精製された砂糖は血糖値を急激に上げるため、急低下を招く。「するとアドレナリンなどの興奮物質が分泌され、イライラのもとに。カフェインも自律神経に負担をかけます」(松村先生)。甘いお菓子やカフェインはなるべく減らし、欲しいときは心も満足する上等なものを。
③ 生理前は休むべき時期 「〜すべき」も手放して
スカッとすることや心地いいことをして、したくないことはしない。無理をせず、自分を最優先に。「生理前はそもそも妊娠のために体が休む時期。でもみんなそれに逆らって生きています。調子がいいときに頑張ればいいわけで、休む自分を責めないこと」(松村先生)
④ 直感的に選んだ香りこそ 本能が求めている香り
アロマやハーブで改善した人は多い。「精油を選ぶときの拠り所は、好きという感覚。香りは理性を超えて、本能や生命を司る脳の中枢に届いて体にも作用。嗅覚が喜ぶ香りは体が欲している香り」(柏谷さん)。ハーブならメリッサ。「女性を助ける植物の代表です」(森田さん)
ハーブ&アロマは体を整えながら症状を緩和
フィト・セラピーのアプローチは、植物のエキスやオイルを「嗅ぐ・飲む・塗る」が3本柱。体全体をコンディショニングし、脳からの指令系統や分泌器官の働きを整えることで症状を改善する。「実感が早い人でも1カ月ほどはかかるけれど、副作用も限りなく少なく、体に負担をかけません。PMS対策や女性ホルモンケアに役立つハーブはメリッサやチェストベリー。精油ならクラリセージ、ゼラニウムです」(森田さん)
生理前のむくみには オイルマッサージ
血行循環を促し、足先から付け根まで脚全体の疲れやむくみをケアするマッサージオイル。ユズ種子油などトリートメント効果の高い6種の植物油にフランキンセンスやユーカリをブレンド。じんわり温まるような感覚で巡りをスムースに。フット&レッグ トリートメント オイル AC R 80ml ¥5,000(THREE)
ホリスティックな 漢方&ハーブサプリ
女性の体と心に着目し、トウキやサイコなどの生薬とリコリスやペパーミントなどのハーブを、オーガニックハニーだけで固めた100%ナチュラルのサプリ。PMS対策には生理の1週間前から飲み始めて。スプーンですくう丸小粒タイプ。プラントロジー インナー ピース 100g ¥6,000(PLANTOLOGY)
爽やかな香りで 体と心を軽やかに
ドイツの国家資格を持つハーバリストが開発したメディカルグレードのアロマオイル。ネロリやメリッサなどを配合したこちらは、肌に塗ることもできるタイプ。生理前のメンタルの揺れ、肌あれやむくみも緩和。生理不順・PMS用アロマオイル 10ml ¥2,880(ドイツ・マリエン薬局自然療法ショップ)
「メリッサ」はPMS 対策の鉄板ハーブ
「パリのハーブ薬局を日本に」と森田さん監修により誕生したブランド。女性特有の揺らぎにはメリッサのティザンヌ(ハーブティ)やタンチュメール(ハーブ濃縮エキス)。右から: エルボリステリア タンチュメール メリッサ 250ml ¥5,000、同 シングルティザンヌ チェストベリー 100g ¥2,600(コスメキッチン)
婦人科を頼るという選択肢もある
日常生活に支障があるほど症状が重いときは、セルフケアや生活習慣の改善だけで乗り切ろうとせず、病院へ。「生理がきちんとあるのであれば、検査などは特にしません。詳細なアンケートで、いつ、どんな症状がどの程度現れるかを把握し、対症療法や栄養指導を行います。精神的な症状には、体質にあわせた漢方薬やビタミン剤、ハーブのメディカルサプリなどを処方します」(松村先生)。頭痛や下腹部痛などの身体的な症状には、低用量ピルも選択範囲。「ピルは多くの種類がありますが、体質や症状の程度によって効果に個人差があります」(松村先生)
増加中のPMDDって知ってる?
生理前に激しい絶望感や自己否定感、自傷願望が生まれたり、人に暴力を振るったり……。PMDDとは、PMSの中でも特に精神的な症状が重いもの。「月経前不快気分障害」という。「生理が始まると症状がおさまるため、うつ病などの精神疾患とは区別されますが、アメリカでは『特定不能のうつ病性障害』の1つとされています」(松村先生)。PMS同様、現代女性の間で密かに増えているとか。
お話を聞いた方
松村圭子先生≫婦人科医。成城松村クリニック院長。女性を応援する目線での丁寧な診療に信頼が厚く、TVや雑誌、webメディアでも活躍。『美人ホルモン講座』(永岡書店)など著書多数。
森田敦子さん≫日本の植物療法の第一人者。航空会社勤務ののち渡仏して植物療法を学び、スクールや自身のブランドを立ち上げる。6月下旬に『潤うからだ(仮)』(ワニブックス)を上梓予定。
柏谷麻夕子さん≫美容ライター。PMSをハーブ療法で克服したことをきっかけに植物療法士に。メノポーズ(更年期)カウンセラーの資格ももち、自然療法と現代医療、両方での女性ケアを発信。
Photo: Rie Suzuki (model), Akiko Mizuno (product)
Styling: Michiko Yuasa
Hair&Make-up: Takae Kamikawa (mod’s hair)
Model: Nastya
Illustration: miyatachika
Text&Edit: Mayuko Kashiwaya