仲良し2人とパッタイを食べていた昼下がり。ひとりはヨガインストラクターで鍼灸師でセックスカウンセラーで、そのうえものすごい美人のトモちゃん(以下女プロとします)。もうひとりのタクさんは遺伝子を研究してきたアカデミック界隈の住人で、ヒトの思考や行動に関する著書多数(以下アカ男)。
食後のコーヒーをすすりながら女プロが切り出した。「セックスカウンセリングで一番多いのは、セックスレス(以下レス)をなんとかしたいって相談なんだよね。それも今すぐに」。セクシーな下着をつけるとか、リゾートに旅して非日常感の力を借りるとか。イランイランのアロマを焚いたら誘いの合図という某芸能人のエピソードもありましたっけ。気恥ずかしいからこそ勇気を振り絞りがちな人っているいる~と私と女プロが他人事みたいな顔して盛り上がっていたら、アカ男が「どれも間違っている」と静かに首を振った。
アカ男の主張はこうです。相手への小さな気遣いを積み重ねて最低でも1年かけて取り組まないと、レスの根本的な解決にはならない。気遣いとは、要は声がけから始まるコミュニケーション。例えば「お疲れ様、仕事どう?」とか、スマホから顔を上げて「ね、なんかお腹すかない?」とかなんでもいい。そこで「いや、さっき食べたばかりだから」って返されても凹まなくてよし。言葉のお供えものをしたと思って、あきらめないで続けることが大事なんですって。