銀座線の中吊りで、銀座四丁目のコアビルに新しくユザワヤが入ったことを知りました。手作りとは縁がない私ですが、一度だけ鼻息を荒くしてユザワヤを訪れたことがあります。
自縛用のロープを求めて。
数年前からストリップの魅力にはまり、お気に入りの踊り子さんのステージに足繁く通っていたところ、ある演目にハートを撃ち抜かれました。一本の真紅のロープを手にステージに登場した彼女は、儚く響く女性ヴォーカル曲にあわせて、自らの身体をゆっくりと縛り始めたのです。腰を反らしながら背中に腕をまわす滑らかな仕草、徐々に肌に食い込んでいくロープの軋み…そのなんとも艶めかしく美しい姿に衝撃を受けました。いつも友人を劇場に案内するとき、きまって私は“家に帰って真似してみるまでがストリップ“と伝えます。(ストリップの魅力についてはそのうちじっくり!)まさにそれを実践すべく、帰り道に「縛り方」を検索し、家に着くなりさっそく古紙をまとめるナイロンテープで(長い縄の代わりになるものはこれしかなかった)挑戦してみました。「えーっと、ここを結んで…ここを通して…」と解説を読みながら縛っていくと、一見複雑そうな菱縄縛りは思いのほか簡単に仕上がりました。初チャレンジの割には、すごく上手くできたんじゃない…?
踊るように美しく縛ってみたい!
翌日、私はユザワヤを訪れました。さまざまな素材や太さの手芸用ロープが並ぶコーナーで、「リアルな緊縛感が出すぎない」ような、「肌に優しそう」で、「ほどきやすい」、自縛にぴったりな一本を探します。手首に軽く巻いてみて、太さのバランスや色の肌写りもチェックします。売り場には子供用の手作りナップサックのサンプルが飾ってあり、少しだけ申し訳ない気分になったりもしました。
そんなこんなで手に入れた、つややかで真っ白な8メートルの手芸用ロープを使い、さっそく自分を縛り上げます。何度か練習を繰り返すと、最適な結び目の位置やテンションのかけ方のコツがつかめてきます。上手くできた自分の姿を鏡に映すと、そこには今まで見たことのないような「いい感じにエロい身体」があるではないですか…!
ここまで読んで、「自分がやっても縄が食い込んで焼き豚のように見えそう」とか「胸が小さいから縛っても全然エロくないだろう」とか思った方こそ、騙されたと思って次の休みにユザワヤへ行き、お気に入りのロープを選んで挑戦してみてください。きっとネガティブな先入観は大きく裏切られることでしょう。
カッティングの冴えわたった服が身体を美しく見せてくれるように、「ロープがつくる幾何学的な紋様」と「肌の曲線を際立てるロープの直線ライン」は身体の上で絶妙な錯覚を生み出します。試着をしてみて、思っていたよりこの服似合うかも…となるように、実際に縛ってみて初めてわかる自縛の“美体効果“。馴れてきたら、鏡の前でヒールと下着一枚になり、自分の好きな曲にあわせセクシーに身体をくねらせながら、ショーのように縛り上げてみてはいかが?
新たな特技は「自縛」!
贔屓の踊り子さんをまねて、音楽にのって自らを縛る技術を身につけた私は、女同士の温泉旅行でこれを披露してみました。なんと全員から「自分もやってみたい」とリクエストされ、急遽「女だらけの湯けむり緊縛ナイト」が開催されました。もしロープを買って挑戦したのに何の感動も得られなかった場合は、SNSのプロフィール欄に「特技=自縛(菱縄縛り)」と追加してみてください。お酒の席で盛り上がるネタ程度には元を取れるのではないかと思います。
もちろんパートナーに見せるのもアリです。きっと彼は「縛り?そんな趣味はないよ~!」なんて言いながらも、あなたの新たな魅力にニヤリとすること間違いなし。セクシーな隠し芸は、パートナーとのマンネリを打破する武器にもなります。
縛り方を一度マスターすると様々なところで役立ちます