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響け!「東洋医学的セクシーハミング」……性がキレイを決める 房中養生入門 其の十七

響け!「東洋医学的セクシーハミング」……性がキレイを決める 房中養生入門 其の十七

「つやのある声の女性は官能に通ず」!?

「なぜ日本人は電話のときに声を高くするのでしょう?誰だかわからなくてビックリするよ」と中国人の友達に尋ねられたことがあります。たしかに私もスマホ片手にワントーン高く「もしもーし!」と声を張っていたりします。若々しく思われたい心理が働いているとか、相手が聞き取りやすいよう大きな声で話すと自然に高くなってしまうとか諸説ありますが、日本人女性は日常会話の声も世界一高いようです。

“好まれる声”も“疎まれる声”もシチュエーションによって様々です。自分の声が好きじゃないという話もよく耳にしますが、あまり気にしないほうがいいでしょう。なぜなら多くの場合、話す側の声質よりも、聞く側のコンディションがどんな状態なのかによって、声の印象は左右されます。イライラしている人に限って「アイツの声、気に入らない」なんて言ったりするものです。

たまに「セックス中にこんな声を出すと盛り上がる、なんていうのはありますか?」と尋ねられますが、誰にでもあてはまるコレといった正解があるわけではありません。ましてや興奮させることを目的として作られたアダルトビデオのあえぎ声と自分の声を比べるなんてことは、しなくて大丈夫。大人っぽい低めの声も、高く響くアニメ声も、鼻にかかった甘い声も、好みは人それぞれです。

房中養生的に声質はどのようにセックスに影響するのでしょうか。

ある古典には「つやのある声の女性は官能に通ず」と記載されています。なるほど、潤いのある声は確かに魅力。ですが一方、「細い声やハスキーな声の女性を相手にすると、男性は疲れず、精気を養える」という記載もあったりします。やはり、昔から魅力的でセクシーとされる声は聴く人それぞれの好みであり、それでオッケーということなのでしょう。

【第5チャクラが秘密を話す鍵】

東洋医学には、声の様子から患者の身体の状態を観察する「聞診」という診察方法があります。他にも面白い声と身体にまつわる小話があるので紹介していきましょう。

「ちょっとお茶しない?」というフレーズは、言葉通りお茶を飲むことだけが目的なのではなく、「ちょっと話そう」というニュアンスで使います。また、上手な悩み相談は「まずは何か飲み物を一杯どうぞ」なんて感じで始まります。人は話をするときになぜか“飲む”という動作を伴おうとします。

ヨガではコミュニケーションや表現を象徴する第5チャクラが、喉の辺りにあるとされており、心の声をすんなり出させるには、何かを飲ませて喉のエネルギーの流れを良くすればいいというのです。

例えば子供が外から帰ってきて、学校で何かあったのか物言いたげにしているとします。もじもじと話し出せずにいるところへ、そっとお水を差し出します。その水をゴクンと飲んでもらうと、堰をきったかのようにするすると言葉が溢れてきたりするのが不思議なものです。

これはちょっと余談なのですが、(例えば浮気のしっぽを捕まえたときなど)パートナーと真剣に話し合いをしたいのに、「疲れているんだから寝かせてくれよ」なんてそそくさと布団に入られてしまったとき。静まった部屋にゴクリと唾を飲む音が響いたら要注意です。本当に寝ているときにひとは唾を飲み込みません。パートナーのたぬき寝入りの真意を察して、適切に対応しましょう。

【鼻歌とハミングの効用】

映画やアニメのシャワーシーンにはよく鼻歌を歌ったりハミングをしているシーンが出てきます。しずかちゃんもキャッツ・アイの三姉妹もフンフンとセクシーに歌います。バスルームは“音の残響”がいいので、歌いたくなるのはわかります。

シャワーシーンに限らず、サザエさんは洗濯物を干すときも料理を作るときも、本当によく歌っています。科学的にも歌うことでエンドルフィンの分泌が促され、心理的にポジティブになる効果が立証されているので、鼻歌はキャラクターの性格の陽の側面を表す上での効果的な演出なのでしょう。(サザエさんはたしかに陽キャラだ。)

この鼻歌やハミングのときなど、自分の身体の内側に音を響かせるのは東洋医学の“内観”という状態にあります。口を閉じたまま「んーーー♪」とハミングして音を響かせたら、身体の内側に意識を向けて行き、頭、鼻、喉、胸と響かせる場所を変えてみてください。どうでしょう、響く場所はうまく移動したでしょうか?何度か練習し、音の高さを変えてみたりすると、身体のどこで振動しているのかはっきり感じ取ることができるようになってきます。

このような内観にとどまらず、さらに”声で身体を整えてしまおう”なんていう気功法が存在するのです。

【六字訣で房中養生】

中国に古代から伝わる「六字訣」は、6種の音を発しながら身体をゆったりと動かす養生法です。それぞれの臓に対応する音があり、その音を内に響かせることで、経絡気血の運行に影響を与えるというもの。

〈肝……嘘Xu〉

〈心……呵He〉

〈脾……呼Hu〉

〈肺……呬Si〉

〈腎……吹Chui〉

〈三焦……嘻Xi〉

正しい中国語の発音を身につけることが必要になりますが、実際にやってみると、性機能に関連する”腎”の音〈吹Chui〉は、なんだか腎臓の辺りの背中に響いてくるような感覚があります。この腎の音〈吹Chui〉は、「緩解陰痿子宮虚寒等疾患(腎の働きの低下によるEDや生殖器官の虚弱)」に効果があるとされており、これぞまさに“房中養生気功”と言えるでしょう。

さぁ、それでは、背筋を正して、ご一緒に!「Chui~~~~~~~~~~♪」

鰻澤智美 Tomomi Unagisawa

ヨガ、鍼灸、カウンセリングをベースに、房中養生によるヘルスケアに取り組んでいる


ancco
Painter, Illustrator
2011年よりあんことして絵を軸にした活動を始める。
作品を発表しながらイラストレーションやデザインの仕事も行う。
https://www.instagram.com/ancccoo/


Text: Tomomi Unagisawa Illustration: ancco

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