俳優の綾瀬はるかさんが日常で出合った「気になるもの・人・こと」をシェアする新連載。自身で撮影した写真とともに、まっすぐな思いを綴る。初回に教えてくれたのは、広島に住む祖母のこと。
綾瀬はるか「はるにっき」vol.01
「おばあちゃんが言ってくれた『なるようにしかならんけぇ』」
おばあちゃんのこと
おばあちゃん。
97歳。
元気でいてくれてありがとう。
おばあちゃんのそばにいると見習うことばかり。
私が落ち込んだ時
不安な時
おばあちゃんに相談したことがあった。
シンプルな言葉だったけれど
とても勇気づけられた。
「なるようにしかならんけぇね。」と。
97歳まで生きてきて
この歳まで自分が生きるとは思わなかったことや
早くに子供を亡くしたことや
いろんなこと。
諦めのように聞こえる言葉だけれど
その言葉は、淡々と
あるべきものを受け入れて、
日常を過ごす。
お嫁に来てから
60年も近く、毎日の欠かさないルーティンがある。
朝起きて、トイレの水拭きをして、
床を拭いて開脚しながら、メイクをして、
今度はリビングに移動して、掃除機をかけて、また水拭きをして、
次は、お庭をほうきではく。
夕方は、太極拳。
そして夜は、また、掃除機をかける。
寝る前は、髪の毛をカーラーで巻いて
手作りパジャマを重ね着して。
子供の頃からそんな祖母の姿を見てきた。
女性としてのたしなみや生活を楽しみ
そして、
日々、淡々と、
当たり前にある日常に感謝して
なるようにしかならんけぇ
その言葉は
私を安心させてくれた。
人生の大先輩であり
理想の女性
生まれたときから広島の実家で祖母と一緒に暮らしていたという綾瀬さん。帰省のたびに祖母を撮影している。
「子供の頃は、おばあちゃんは厳しい人だなと思っていました。出したものはすぐに片付けなさい、寝巻きからは早く着替えなさい、など。ただ、自分が大人になると、祖母の凄さに気づきました。何十年間も、毎日同じルーティンをきちんとこなすのは、なかなかできることではないので」
祖母は裁縫上手で、パジャマや普段着も手作りする。ときには、綾瀬さんが譲った洋服を大胆にアレンジも。
「え、あのニットがこんなベストになったの?!と驚いたことも何度もあります。ブルーのカーディガンには靴下もブルーを合わせるなど、細かなこだわりも持っていて。幾つになってもおしゃれを楽しむ姿に刺激を受けます。私も小さい頃から『起きたらまず身なりを整えるのが嗜みだ』といつも言われてきました。今、その教えを引き継げているかは、また別ですが(笑)」
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Photo, Text(Top)_Haruka Ayase
Photo_Yuki Kumagai(portrait) , Hikari Koki Styling_Setsuko Morigami Bespokestitcher_ruriko wyborn
Text&Edit_Motoko KUROKI