銀座の目抜き通りのひとつ、晴海通りに新たにオープンしたハイブランドのブティック。メゾンと日本の美意識が出合った空間が展開しています。
日仏の美意識が出合った空間「カルティエ 銀座4丁目ブティック」
東京ケンチク物語 No.78
カルティエ 銀座4丁目ブティック
Cartier Ginza 4-chome Boutique

数寄屋橋交差点からすぐの晴海通り沿い。インバウンド観光客の往来も絶えない、銀座の“顔”ともいえるエリアに、ひときわ印象深い外観の一軒がオープンした。ゆるやかに波打つような紋様を描く壁面に包まれた「カルティエ 銀座4丁目ブティック」だ。ブランドとしてはアジア最大の面積を誇る、4フロアからなる店舗。ファサードデザインは、長く東京拠点で活躍するマーク・ダイサムとアストリッド・クライン率いるクライン ダイサム アーキテクツ(KDa)が手掛けた。大海を思わせるファサードには、日本の伝統文様のひとつ「青海波」に着想を得たモチーフも採用。型押ししたアルミキャストパネルを組み合わせて、シャンパンゴールド色に仕上げたこの外観は、決して華美ではないがくっきりと心に刻まれる。1847年の創業以来、手しごとと強く結びついて質の高いものづくりを続ける、このブランドならではの上品な佇まいだ。
4フロアからなるインテリアのデザインは、フランス人建築家のブルーノ・モワナー率いるモワナー ベタイユによる。2002年から同ブランドのブティックの内装を数多く手掛けてきた彼らがテーマのひとつとするのが、都市ごとの美との融合。こちらの店舗内でもそれは同じで、日本らしい/東京らしいモチーフや素材使いを各所に見ることができる。例えば、主要アイテムが出迎える1階の天井は、折り紙からインスピレーションを得たという、大きな三角形のウッドパネルが重なるようなデザイン。これがアクセサリーとギフトコレクションなどが並ぶ2階では、凧をモチーフにした長方形の連なるデザインへと変化していく。さらに、各所に溶け込むように、日本人アーティストによる緻密な手わざの生きた作品も配置される。日本国内初となる“レジデンス”と呼ぶプライベート空間を設けたのも、このブティックの特筆すべき点だ。和傘をモチーフにした天井に包みこまれるような親密なこの空間にはバー&ダイニングも備わる。特別な機会に使われていくという。ブランドのあらゆる顔が見られる構成ながら、余白がゆったりととられた落ち着きある空間。老舗ブランドならではの余裕と品格を感じる一軒だ。
Illustration_Hattaro Shinano Text_Sawako Akune Edit_Kazumi Yamamoto
