女嫌いの女好き。女好きの女嫌い。矛盾しているようでいて、わりとよくいる。
たとえば、聖女か娼婦か、両極端の女性像しか持たない男たち。聖女は、純粋無垢な少女とすべてを許してくれる母親の、夢の合体ロボ。女から見れば「あいだが抜けてるよ」でいかにも間抜けだが、彼らは内なる空想世界にしかいない聖女を崇め、その崇拝を自らの無垢性の根拠にさえする。そしてそんな奇跡の存在以外は、性欲物欲が強くて傲慢な、薄汚いbitch。奇跡は起きないので、現実に向き合うすべての女はbitchに分類され憎悪の対象に。
もうひとつは、シンプルに女を蔑んでいて、人と向き合う時にあたりまえの不安を、女=人ではない相手に対して持たないから口説きが成功しやすく、それで自信を持ってしまう、ヤリチン。
では、女の場合はどうだろう。自他ともに認めるbitch、つまりはヤリマンはただの男好きだろうか。男たちにある心理の捻れが、女にはないなんて思うのは、それこそ女をバカにしている。