近年、新しい観光のカタチとして注目を集めている「インフラツーリズム」。その名の通り、ダムや橋、トンネルなど社会インフラを対象とした観光が今、東京でも大人気なのだとか。私たちの暮らしを支えるインフラを知れば、東京の街が何倍も面白くなるはず!
豊洲市場で見るべきは抽選制の「マグロのせり」見学【東京インフラツーリズム】

豊洲市場 マグロせり at豊洲
東京の〝食のインフラ〟を支えている豊洲市場で体験できるのは「マグロのせり」。見学方法には2種類あり、ひとつは予約なしで見学できる2階の見学者コース。5時から17時まで一般開放されている(日曜祝日と休場日は不可)。今回体験したのはもうひとつの事前申し込み&抽選制の見学。こちらは5時45分から6時15分までで、よりせり場に近く音や声も聞こえて臨場感たっぷり。
朝5時半。まだ真っ暗な中、豊洲市場の水産卸売場棟へ。見学者デッキへ向かうと、せり場にはすでに所狭しとマグロが並んでいて、まずはその大きさに仰天!大きいものだと大人の男性くらいの大きさで、ツヤツヤと黒い光を放つボディはまさに「黒いダイヤ」! せり場では仲卸人たちが懐中電灯でマグロのお腹を照らして見たり、かぎ棒で尻尾のあたりを確認したりして、目当てのマグロを細部まで観察している。これは下つけといって、色や肉質、脂ののり具合をチェックして、これならこれくらいの値段で買おうとメモしておくのだそう。
そうこうしているうちに大きな鐘の音とともにせりがスタート。マグロを売る人、買う人の大きな声が怒号のように渦巻いて、こっちの血まで騒いでくる。100本以上あったであろうマグロはものの30分で売れてしまって、人もまばらに。しかーし!豊洲のせり見学の醍醐味はこれだけではない。昼間は大行列の市場内の人気寿司店も早朝は客もまばら。せり場で感じたマグロ熱をそのままに、心ゆくまで新鮮な魚介を食べられるのだ。
そのほか、せり場で多くのおじさまが履いていたヘビーデューティーな長靴や、プロ仕様の調理器具、乾物などの食料品が買える魚がし横丁も早朝からオープン。歩き(食べ)疲れたら芝生が敷かれた屋上庭園で海風に吹かれるもよし、名物の茂助だんごを買うもよし。なんだかんだで昼すぎまで遊べてしまう、盛りだくさんのせり見学なのだった。
豊洲市場の屋上庭園は知る人ぞ知る穴場スポット。せりの後に上ると、朝日がとてもきれい。飲食は禁止。
市場内には築地市場の歴史にまつわる写真や、市場を走るターレの実物展示も。歩くだけで楽しい。
魚がし横丁にもターレが行き交うのでご用心!料理好きはプロ御用達の調理道具店や刃物店がおすすめ。
業務用のシールはお土産にも。市場関係者が買い物に使っている市場籠など、ご当地グッズも。
仲卸人はマグロの尾の部分を見て品質をチェック。見学ブースからはその真剣な眼差しも垣間見える。
場所: 豊洲市場 水産卸売場棟 東京都江東区豊洲6-6-2
開催日: 通年開催(詳細はHPで確認)
開催時間: 5:45〜6:15(抽選なしの見学者コースは5:00〜17:00)
料金: 無料
申し込み方法: インターネットか電話で要予約(抽選制)。詳しくはhttp://www.shijou.metro.tokyo.jp/を
受付電話番号は毎月変更。HPで確認のこと(1カ月前から受付)
*マグロせり見学者デッキから見学できるのは、抽選の当選者のみです。魚がし横丁の物販店舗の営業時間はほとんどが午前中〜正午頃です
Photo: Masanori Ikeda Text: Yuriko Kobayashi