『マグダレーン』
FKAツイッグス
音楽の枠を超え、アートやファッションの文脈とも混ざり合って無二のスター性を発揮するFKAツイッグス。デビューから5年ぶりに発表した今作は、心が張り裂けるような体験や子宮の腫瘍を取り除く手術で自信を喪失した時期に生み出されたという。新約聖書に登場する女性マグダラのマリアからインスピレーションを得て、心と身体の再生を歌う優美な姿は、どこかつかみどころがなかった彼女をこれまで以上に立体的に浮かび上がらせる。
(Young Turks / Beat Records)
『ノー・ホーム・レコード』
キム・ゴードン
90年代グランジブームを牽引したオルタナティブ・バンド、ソニック・ユースのメンバーで、ファッションブランド〈X-girl〉を立ち上げたことでも知られるキム・ゴードンが、その長いキャリアで初のソロ作品をリリース。バンドメンバーでもあった夫との離婚、乳がんの克服、批評的に綴った自伝本の出版と、たくましい生き方を支持する声も多いキム姐。相変わらずの挑戦的なサウンドと円熟味、そしてユーモアで私たちを鼓舞するような堂々たる再帰。
(Matador / Beat Records)
『デヴァウアー・ユー』
スタークローラー
ソールドアウトの2018年来日ツアー、フジロックでの破天荒なステージでロック・ファンの血を沸かせたスタークローラー。カオスから生まれる閃光は実に魅惑的で、なんといっても「音楽界で女性はどう振る舞うべき?」という呪縛を吹き飛ばすカリスマ・ボーカリスト、アロウ・デ・ワイルドの存在に目を奪われる。これまでの生々しさはそのままに、緻密な音作りと楽曲のバリエーションにも挑戦したバンドの成長も味わえる2作目の誕生。
(Rough Trade / Beat Records)