幼い頃から聴いている曲や生き方を教えてくれた曲。最近気になっているミュージシャンなど。2020年のいま、音楽を語る上で欠かせない敬愛するアーティストと好きな曲を聞きました。
池田エライザさんが嫉妬するほどのアーティストetc. いま、一番好きなミュージシャンを教えてください!

池田エライザ
アーティスト
崎山蒼志
曲
「国」
聴いていると地球を好きになれる
嫉妬するほどの才能にあふれた17歳
崎山蒼志さんは、私にとって〝地球を好きになれるアーティスト〟です。彼の視点を通して地球を感じると、「ああ、私ってこんなに美しい星で生きていたんだわ」とエモーショナルな気持ちにさせてもらえるような。難しいことばかり考えて、自分の人生が蔑ろになってしまっている時に聴くと、視界がすっきり開ける気さえします。中でも好きな一曲「国」は、会いたくても会うことのできなかった数多の小説家が、17歳の少年になって蘇ったのでは ?と思うほど物語性に満ちた曲。私と同じ時代を生きているはずなのに、どうしてそんなに今を美しく描けるのか……。この曲を初めて聴いた時、かつてないほど人の才能に嫉妬しました。どうかそのまま、今のままの崎山さんを大切にしていてほしいと願いつつ、これからどんな道を歩んで、どんな素晴らしいものを生み出してくれるのかとても楽しみにしています。
『いつかみた国』
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池田エライザ<br />
1996年生まれ。女優として活躍するほか、来年夏公開映画『夏、至るころ』では監督初挑戦。
北山雅和
アーティスト
Paul Weller
曲
「Walls Come Tumbling Down」
非の打ち所のないファッションと
生き様が自分を奮い立たせてくれる
一人に絞れと言われたらポール・ウェラー以外考えられません。ザ・ジャム、スタイル・カウンシル、ソロと今なお現役。少し暴論ではありますが、渋谷系と括られたカルチャー全体に影響を与えたと言っても過言ではないはず。個人的にも〈パトリック・コックス〉のヘビ皮のチャッカブーツ、〈グッチ〉のビットモカシン、ピンストライプのスーツ、ペイズリーのスカーフ、〈フレッド・ペリー〉、〈ジョンスメドレー〉、チャックテイラー……挙げたらきりがありません。中でもスタイル・カウンシル「Walls Come Tumbling Down」のMVでは、ブロウバーのサングラス、黒のタートル、ピンクのカーディガンにホワイトジーンズの着こなしが衝撃的。勿論スタイルだけでなく「信念を持って行動すること」は彼から学びました。ポップフォーマットに身を置きながら、ポリティカルかつクールに行動する姿勢には大き過ぎる影響を受けてます。
『アワ・フェイヴァリット・ショップ』
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北山雅和<br />
コーネリアス、OKAMOTO’S、cero、GEZANなど数々のアートワークを手がける。
小山田米呂
アーティスト
Ozzy Osbourne
曲
「Over the Mountain」
誰かに話すと必ず盛り上がる
オジーの伝説的パフォーマンス
言わずと知れたメタルの王様で、僕が人と話して楽しいミュージシャンランキングトップです。メタルミュージシャンの中には数多く逸話を持つレジェンドがたくさんいますが、オジーは別格でしょう。特に有名な「ライヴ中に生きたコウモリの頭噛み千切り、病院送り事件」や、生きた鳩食べたり、客席に生肉投げたり、悪魔的で意味不明なパフォーマンスが多く伝説になっています。アルコール、セックス、薬物の依存症で逮捕もされてるし、死にかけたのも一度や二度じゃないけど憎めない男なんです。奥さんに服選んでもらってるし。これだけめちゃくちゃなのにまだ生きているので、恐らく彼は不死身です。そして、ツアー中、乗っていたセスナが落ちてオジーの前で事故死し、『ダイアリー・オブ・ア・マッドマン』が遺作になってしまったオジーバンド初代ギタリストのランディ・ローズは僕のギターヒーローの一人です。
『Diary of a Madman』
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小山田米呂<br />
2000年東京生まれ。DJ、ミュージシャンとしても気まぐれに活動。現在はLAに留学中。
最果タヒ
アーティスト
浅井健一
曲
「SWEET DAYS」
浅井さんの歌詞を耳にした瞬間
言葉との向き合い方が変わった
誰かが使っている言葉を借りてきて、目の前の人にわかってもらうためだけにそれらを組み立て話していた。そういう日々を打ち砕いたのがブランキージェットシティの音楽だった。《要は、突き抜けるあの感じ》とか《どうでもいいぜそんな事柄》とか。歌詞を耳にした瞬間、《要は》も《事柄》も強烈にかっこいい単語として生まれ変わる。それが、あまりにも鮮烈だった。
変わっている言葉選びだから、とか、そういうことじゃない。むしろ浅井さんにとってその言葉選びこそが必然だったとわかるから。だからこそ、聴くたび、言葉が鮮やかに更新される。生まれて初めて言葉をかっこいいと思った。ここを、追い求めたいと思うぐらいに。浅井さんの歌詞には感性そのものが言葉に直結していくような「速さ」がある。考えるよりも先に言葉になっていくような。それこそが、私を詩人にしたと思っています。
『Harlem Jets』
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最果タヒ<br />
書籍、WEB、美術館などさまざまな場で詩を発表。最新刊は『恋人たちはせーので光る』。