本企画は、あらゆるゲストが「東京」の街やスポットに想いを馳せて選曲するプレイリスト連載。第5回目のゲストは坂本慎太郎さん。旧知のレコード店を訪ねる際をはじめ、日常的に利用する遊歩道だという『桃園川緑道』が今回の選曲テーマです。ぜひ坂本さんの”東京の風景”を想像しながら音楽を聴いてみよう。そしてできれば、歩いてみよう。カッパへの挨拶も忘れずに。
坂本慎太郎が選曲する「東京」をテーマにしたプレイリスト|MUSIC AROUND THE TOKYO vol.5
「桃園川緑道は僕の生活圏にある遊歩道なんです。元々は桃園川という川だったのが暗渠化(地下に埋設された水路)されたそうです。阿佐ヶ谷の住宅地から始まり、高円寺、中野を通り、中野区と新宿区の境を流れる神田川に合流する。東京のどこにでもあるような単なる細くて長い道なのですが、街中にもかかわらず緑が多く、車も自転車も人通りも少ないので、日常的によく使うお気に入りの道。コロナ自粛期間は毎日いろんな場所を散歩しました。知らない道を適当に歩いたり、細い路地や暗渠を見つけてはどこまで続くか行ってみたり、マスクをしてとにかく人がいない道を歩き回りました。桃園川緑道はそんな散歩コースのひとつで、自分にとって今年印象に残っている”東京の風景”です。
そして、この緑道の途中には東京の観光名所と言っても差し支えないと思われる、パワースポット的レコード店『LOS APSON?』があるのです。中野方面から桃園川を逆流するように進むと環七にぶつかる。陸橋を渡り、さらに高円寺方面へ進むと小さなカッパの像があり、そこが『LOS APSON?』。カッパに挨拶して、店主の山辺氏と少しダベり、その日の気分でレコードを1~2枚買って帰るというのが、典型的な僕の日常です。そういうわけで、今回はここ最近『LOS APSON?』で購入したレコードから、”桃園川緑道を散歩するときのBGM”というテーマで選曲しました。ほとんど新譜か再発の新品レコードです。近年は<BIG CROWN>というレーベル(3,5,8,9曲目など)を気に入ってよく買っていて、ニューヨークのレーベルなのですが、昔のソウルみたいな今のバンドを色々リリースしてるとこです。南米ものもたまに買う。僕が好きそうなレコードが入荷すると山辺氏が教えてくれるので買いに行くんです。
東京は好きですが、古い建物や駅がどんどん壊されるのは寂しいし、久しぶりに駅前に行くと様子が変わっていて戸惑うことがある。加えてこの新型コロナウイルス感染拡大の影響で個人商店や好きな店が潰れてしまうのではないか、と心配しています。」
1 The Fly Girlz / I Could Give You Reasons
2 Ranking Ann / Moonlight Lover
3 The Shacks / Hands In Your Pocket
4 Dwight Sykes / Walk With Me
5 Bobby Oroza / This Love
6 Durand Jones & The Indications / Listen To Your Heart
7 Steve Elliott / Crying
8 Brainstory / Beautyful Beauti
9 Sunny & The Sunliners / Put Me In Jail
10 Wesley Bright & The Honeytones / You Don’t Want Me
11 Velly Joonas / Kaes On Aeg
12 Maryn E. Coote / I Don’t Have To Cry
13 Sessa / Grandeza
14 Chicano Batman / Passed You By
15 Ernest Ranglin / Noctrune In E-Flat Major
16 Orchestre Tout Puissant Marcel Duchamp / Lost And Found
17 Spontaneous Overthrow / Get Yourself Together