名作、怪作そろい踏み!唯一無二の表現を磨いて人間の輪郭に光をあてる。広くて深い現代日本文学の海から編集部セレクトの小説と随筆を紹介。全32冊から今回はNo.19からNo.21の本をピックアップ。#32冊の現代日本文学
🎨CULTURE
GINZA編集部が32冊の現代日本文学をレコメンド vol.7| 朝倉かすみ『平場の月』etc.
19
『平場の月』
朝倉かすみ
元同級生で50歳を迎えた青砥と須藤は病院で再会。「互助会」と称して盃を交わすうちに恋仲へ。そんな折、須藤が大腸ガンを患う。それでも動じず、いつもの居酒屋や家で逢瀬を重ねる2人はみずみずしい。愛する人と過ごす日常こそが宝物だ。(光文社/¥1,600)
20
『持続可能な魂の利用』
松田青子
「おじさん」が優位の日本では、性別間での賃金や肩書きの格差は縮まない。男社会の圧力を受けた敬子は、奇しくも「おじさん」が統括する笑わないアイドルに夢中に。だが、沼にハマったのを機に毒された現実を変える“賭け”に出る。(中央公論新社/¥1,500)
21
『なかなか暮れない夏の夕暮れ』
江國香織
不労所得で暮らす稔は親友の訪問にも気づかず、両思いの元同級生への連絡も忘れて、北欧のミステリ小説を貪る。一方で他人の子どもを認知して周囲を驚かせるが、本人はどこ吹く風だ。気ままな大人の日常を軸にした33名の群像劇。(ハルキ文庫/¥700)
Photo: Natsumi Kakuto Text: Mako Matsuoka Collage: Takashi Tanaka