イラストレーター飯田淳さんの最新個展『Laidback Living』。居間で過ごす心豊かなひと時が、色鉛筆で描かれている。2021年7月2日(金)〜11日(日)、「東京妙案ギャラリー(白金台)」にて。
飯田淳さん個展で描かれる「くつろぎのリビング」。穏やかで、でも新鮮な日常の彩り
GINZAの「G」マークを創った人。もちろん飯田淳さんの経歴はこれだけでは語りつくせないのだけど、飯田さんといえば、GINZAとしてはまずこのロゴに言及したい。
GINZAのアイデンティティを授けてくれた飯田さんは、ファッションイラストレーションの先鋒に立ち続けている。雑誌、広告、ハイブランドのインビテーションなど活動は幅広く、作品には普遍のシックネスがある。
さて、様々な戸惑いが多かった1年である。けれどこの変容は、飯田さんに創作のきっかけを与えた。
「流れる曲のセレクトを変えたり、ちょっと早めにワインを開けたり、香を炊いてみたり、何だか見なれている空間が新鮮に感じてきます。居間で過ごす時間が長くなり、ちょっとした楽しみを探しては、リラックスしようとしていたこの一年だった気がします」
新たな生活様式は、暮らしの中に思わぬ余白を生んだ。平坦なようでいて、家で過ごす「日常」は小さなきらめきに満ちている。飯田さんが捉えたのは、そんなひと時だ。イラストを見ていると、不思議と心が透明になっていくような気がする。
作品は全て色鉛筆を使って描かれたもの。色合いや線は優しいようでいて、時にハッとするほど鮮やかだ。くつろぎの時間の中に、凛とした佇まいが見える。それは、飯田さんの視点そのものなのかもしれない。
「Laidback Livingー『くつろぎのリビング』で見えた日常を大好きな色鉛筆で描きました。70’Sのロックミュージックを聴きながら……」
揺るぎない才能が描く日常は、神々しいほどに穏やかで、鮮烈だ。