11月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。
G’s BOOK REVIEW ドラマ化決定で話題の『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』etc.

『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』
サリー・ルーニー
(山崎まどか訳/早川書房/¥2,530)
1991年生まれのアイルランド人作家のデビュー長篇が世を騒がせている。フランシスは《家父長制くそくらえ》と学校の壁に書いたボビーに出会い、《ボビーが私について語る言葉を聞くことで、私は初めて自分の姿を鏡で見たよう》だと感じる。恋に落ち、詩を書き、スポークン・ワードのパフォーマンスをする二人。ある夫婦との関係が恋によって混線し始め、言葉と視線とテキストと体が、痛みと不安と喜びを湛えて交わされていく。
『朝倉かすみリクエスト! スカートのアンソロジー』
朝倉かすみ、佐藤亜紀、津原泰水、藤野可織ほか
(光文社/¥1,760)
「スカート」は記憶を呼び寄せ、人と人との関係を塗り替える。時に男らしさの象徴となり、時間と時代を映し出し、戸惑いや恐怖を増殖させたと思えば祈りにも、それを履く人を護る鎧にもなる。作家・朝倉かすみがテーマをたてて《好きな作家たち》に依頼して生まれた豪華なアンソロジー。9つの短篇に描かれるスカートが、縫われ、測られ、人を走らせ、馬に乗る姿を美しく彩る。作家たちの魔法の筆が、日常と非日常をどこまでも鮮やかに見せてくれる。
『マン・レイと女性たち』
巖谷國士 監修・著
(平凡社/¥2,750)
高級モード誌に請われて撮った作品でモードとアートを結び、ファッション写真の源流を生み出し、ココ・シャネルをはじめ数多くの肖像写真も残しているマン・レイ。NYで仕立屋を営む両親の下に生まれ、画家を志した青年期、ダダやシュルレアリスムに出合った時代から晩年までを追いながら、その芸術に大きな影響を与えた女性たちを軸に作品を紹介していく。絵画、オブジェ、彫刻、映画などをジャンル越境し続けた芸術家の人生を知る美しい図録。
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Recommender: 鳥澤 光
ライター、編集者。『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』、BBCドラマ化の続報も待ち遠しい!