裏の世界を知る犯罪コーディネーター・インビジブル(柴咲コウ)と、後輩が殺害された事件の真相を追う刑事志村(高橋一生)がタッグを組んで犯罪者を捕らえる『インビジブル』。(TBS)。二人の息もずいぶん合ってきた4話を、ドラマを愛するライター釣木文恵と漫画家オカヤイヅミが振り返ります。3話はこちら(レビューはネタバレを含みます)
高橋一生×柴咲コウ『インビジブル』4話。目が嬉しい華やかな潜入捜査!これぞドラマの魅力
高橋×柴咲の潜入捜査
潜入捜査ってドラマティックだ。実際にもあるようだけれど、超セレブの集うオークションとなるといかにもドラマのなかのできごとといった趣。3話での派手な衣装に引き続き、今回はドレスを身に纏ってちゃんとその場に似合う雰囲気を出せるキリコ(柴咲コウ)を見ているだけで嬉しくなる。一方、今回も巻き込まれる形で慣れないタキシードを“着せられてる”感を残しつつも、特訓でなんとかサマになるまでに成長した様子の志村(高橋一生)も、いい。
『インビジブル』は、毎回こうしてドラマならではの魅力を思い出させてくれる。現実とはかけ離れた世界、入ることのなさそうな場所、生涯着ることのなさそうな衣装、そういうもので目を楽しませるという役割も、ドラマには確かにある。
頼もしくなる仲間たち
絵画の窃盗事件が相次ぎ、志村たち一課は三課の課長・大貫(松下由樹)から協力を要請される。一課が匿っているインビジブル=キリコの力を借りたいというのだ。実はこの要請自体、サルの仮面をつけた窃盗団モンキーズに目をつけたキリコが仕向けたこと。キリコは50億の絵画(ジャクソン・ポロックを思わせる)を手に入れ、わざとモンキーズに絵を奪わせる。そしてその絵画が依頼主に売られる出来レースのオークションに志村と共に潜入する。
インビジブルの存在は極秘中の極秘のはずだけれど、こうして警察内部、さらには3年前に殺された志村の後輩、安野慎吾(平埜生成)の妹・東子(大野いと)にも広まっているのを見ると大丈夫だろうかとちょっと不安にはなる。しかも、東子はwebニュースの記者だ。
一方、ある殺人事件で安野殺害の凶器が見つかる。「殺害現場は公園、殺されたのはOL」と3年前の事件と共通点が多い。志村は躍起になるが、周りは感情的になっている彼をこの事件に関わらせようとしない。この捜査と逮捕では、3話でぐんと成長した様子の磯ヶ谷(有岡大貴)がずいぶん頼もしい。いつもは志村と敵対している様子の猿渡(桐谷健太)も、今回は志村の監視よりもこの事件の解明を優先しているようだ。
1話の、理解者がほとんどいそうにない志村の姿を思い出すと、こうやって少しずつ志村を取り巻く環境がよくなっていくのは見ていてうれしい。普段どんな仕事をやっているかよくわからないけれど、ふいに志村にやさしい言葉をかける塚地(酒向芳)もいる。
あくまでもバディな二人の距離
なにかとキッチンでたいへんな目に遭いがちな志村は、今回も小麦粉やら氷やらを駆使して見事モンキーズを仕留める。闇オークションに関わる面々を一網打尽にできて大貫も大喜びするが、キリコの本当の目的は依頼人の方だった。しかしその場にいたのは代理人。「今度は俺がお前に取引を持ちかける。お前の目的を俺が一緒に探してやる」「だから話せ、お前が知っていること全てを」とキリコに伝える志村。しかし直後、安野殺しの犯人が「インビジブルに依頼された」と自供している情報がもたらされる。
近づいたと思ったらまた離れる。まるで恋愛のようだけれど、今のところこの二人にはその要素が全くなさそうなのが気持ちいい。
キリコの目的と安野殺害の謎がますます深まってきた。5話では何が明らかになるだろうか。
脚本: いずみ吉紘
演出: 竹村謙太郎、棚澤孝義、泉正英
出演: 高橋一生、柴咲コウ、有岡大貴、堀田茜、原田泰造、桐谷健太 他
主題歌: Dragon Ash『Tiny World』
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Writer 釣木文恵
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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