日本が世界に誇る音楽の祭典、FUJI ROCK FESTIVAL '17(以下FRF)。これまでは参戦ロック&モードガールズの機能的おしゃれスタイルをさんざん追っかけてきましたが、どうしてこんなに素敵なオーディエンスが集まるのかって、それはやっぱり世界最強レベルのアーティスト約200組が世界中から苗場に集まって、世界最高の音を奏でる瞬間と空間の連続が、本当に幸せでピースフルで、夢と熱気に満ちあふれていて、それはもう最高なんです(伝われ)。というわけで今回は(音楽的に超詳しいものはお好みの各専門サイトをご参照いただきたいのですが)、FRFのステージレポートを兼ねまして、今後GINZA読者のみなさまが注目すべきスーパー素敵チーム、6組を厳選してみました。
① The XX(ザ・エックス エックス)あちこちのメディアのレビューで“FRF'17のベストアクト”の呼び声も高き......ってか音選びと、それを紡ぐセンスが本当によいんです!!! DJとしても大成功を収めているトラックメイカー、ジェイミーくんの力なのか、繊細でやさしげだけれど、確実に力強く我々の心に響く紅一点、ロミーちゃん(写真)のヴォイスの魅力なのか、エディ・スリマン時代のサンローランをビシッとまとったオリヴァーくんの凛としたたたずまいのせいなのか。Radioheadのような(あくまでイメージなのですが、いかにも小雨に煙るロンドンのあまり光の差さない部屋とかで描かれていそうな)ちょっと内向きで、人間のダークサイドをぼうっと照らすようなブリティッシュ・ポップス(と、くくるのもなんだか失礼な気もするのですが)が、今の世の中の気分につくづくジャストだなあと。大喝采に沸くオーディエンスの姿に心底うれしそうだったロミーちゃんが素敵でした。2009年のデビュー当初からモード界のラブコールが耐えない3人ですが、これからますます売れちゃいそうです。来日の際は絶ッ対にお見逃しなく!!!
② The Lemon Twigs(ザ・レモン・ツィッグス)NYはロングアイランド出身のブライアンくん(19歳)とマイケルくん(17歳)のガチでリアルな兄弟デュオ。交互にギターを弾きながら、歌って踊って煽ってドラム叩いてMCして...と大忙しなマルチプレイスタイルが特徴。てか天才です。こんなヤング美少年たちがごくごく涼しい顔してこんな極東エリアの山奥(ごめん)まで飛んできてパフォーマンスしてくださるのだから、FRFとはつくづく贅沢な場です。「ねえ、まだティーンなのに、どうしてそんなに演奏が上手なの?」と真顔でアホみたいな質問する日本人のおねいさん(=私)に「だって、産まれたときから楽器がそこらじゅうにあるからさwww」とクスクス笑いながらさも当たり前のように答えてくれたナイスなふたり。「楽しくて楽しくてしょうがないんだ♪」というムードにあふれるステージは、チャーミングなバンド名に惹かれてRED MARQUEEにやってきた初見オーディエンスをことごとく虜にしておりまして「あの二人、兄弟なんですよ、しかも19と17です」って伝えると「ええっマジで!? 可愛い♡...ホワアァァァァ♡」と急に親御さんみたいな見守りムードになっていたのが印象的でした。がんばれレモン兄弟。
③ THE STRYPES(ザ・ストライプス)「いやあ、外国のティーンはマジですげェな(素)」と言葉を失う、アイルランド出身のこちらもレモン兄弟と同世代のティーンエイジャー・バンド。きわめてオーセンティックなアプローチ(=ヴォーカル・ギター・ベース・ドラムの4ピースバンド)で真摯にロックと向き合い続け、我々の心をわしづかみにする21世紀が誇るべき青年たちです。ストレートだからよけいに響くのかも。彼らのステージは2013年春の日本デビューショーケース(即完売)以来4年ぶりでしたが、当然ですけどものすッッッごいパワーアップしてまして(語彙力)。なんせあまりに強い音を出すので(関係者のくせして)最前列に突っ込み「いったいどんな教育を施せばこんな天才ボーイズが育つんだろうか......」と口をあんぐり開けてボー然としていたところに、4人が4人のウィンク攻撃を喰らいまくる(おそらくステージから見たらばアホ丸出しだったに違いない)という超絶幸せな体験の記憶が見事に上書き保存されたのでした。
...なんかみんなTHEがついてましたね。さて、続いては日本のアーティストです。
④ 小沢健二さま(Act 1 @ WHITE STAGE)最初に、小沢さまにだけは“さま”をつけさせてください。今回のFRFでは2ステージを披露してくださった我らがプリンス。実は開演直前まで「きっと大自然とシャワー雨とに囲まれて、1時間みっちりポエムの朗読をエンエンと聞かされるに違いない.....(いやそれでもありがたいんですけどごめんなさい)」と、腹をくくって臨んだのですよ。それだけ予測不能なステージだったんです。そしたらなんと! すべての歌詞をスクリーンに映し出し、光栄なことに一緒にSing Every Songできる素晴らしすぎるステージ!!! スチャダラパーやスカパラホーンズなどプリンス往年の仲間たちに加え、一十三十一ちゃん&ハルカリHARUKAちゃんがコーラス&パーカッションをつとめ、全員おそろいのボーダートップスに身を包み、ネイティブなヘッドアクセサリーを身につけて楽しげにプレイするのも本当に可愛かった。電子回路を頭や首や腕に巻きつけ、クリスマスツリーのようにきらめく子猫ちゃんのみなさまが泣いて大合唱する様子には、こちらまで心の底から感動してしまいました。そしてあんなに顔をくしゃくしゃにして笑うプリンスは初めて観たんだぜ! 日本語の美しさやもどかしさ、誇らしさをうたう詩人としての才能を完膚なきまでに発揮。おそらく、太陽系宇宙上でいちばん日本語の表現に長けた方ですプリンス。ハロウィンに合わせて素敵な絵本をリリースされるようなので、必見です。
⑤ yahyel(ヤイエル)昨年末、チャド・ムーアくん(ライアン・マッギンレー氏の1st弟子)来日時のフォトセッションに参加してくれた彼ら。「アップカミングな日本のミュージシャンを撮りたい!」というチャドのリクエストでブッキングし、極寒の汐留は中銀カプセルタワービルに集まってくださった彼らですが、今となっては夢だったのではないか!? と実感せずにはいられないほど、大きく強くたくましく成長していました。彼らのライヴでは、ビジュアルもリアルヴォイスもトップシークレット! 通常のステージパフォーマンスに不可欠ともいえる具体的な“身体性”をあえて喪失させ、匿名性を極限まで高める、いわば純粋な“音と映像そしてグルーヴ”を体感すべき、独特のスタイルを貫いているんです。それはMCまでマシンヴォイスで通す徹底ぶり。「日本とか海外とかいう垣根が行動概念にない!」と言い切る彼らのクリエイティビティは、世界中から集まったFRFのオーディエンスにきちんと伝わったかなあ。未曾有の不思議な感覚に陥るので、ぜひ一度みなさまにも体感していただきたいです。
⑥ MORE THE MAN(モアザマン)ex.東京スカパラダイスオーケストラの冷牟田竜之さんが、まったく新しい、でもきわめてオーセンティックなスカバンドを結成されておりまして。それがまあ、見事に「こンなイケメンプレイヤーズ、どっから見つけてきたんでスカ!?!?!?」と、兄さまの肩をガクブルイわせたくなるくらい、右を向いても左を向いても奥に目を向けても目もと涼やかなイケメンだらけ。そんなメンズに目の前で煽られたら「付き合ってーーーッ!!!」てノド枯らしちゃいます、ハイ。そしてSOIL & "PIMP"SESSIONS脱退後、新しい道を模索中の無双サックスプレイヤー元晴さんが脇にドーンと構えてらっしゃるのも頼もしかったです。どうやら10月に渋谷でワンマンライブを予定されているとのこと。「フェスだとあんなに爆発すんのにさ、ワンマンになると集客がイマイチ弱いんだよな...どうして?」と、兄さまいつも首を傾げてらっしゃるので、みなさまレッツ公式サイトをチェックでございます。いざ行かん、新しいスカのステージを体験しに!!!
いかがでしたか? もっと書くべきアーティストやステージ、本当にたくさんあったのですが、まったくもってお伝えしきれないので、これを読んでいただいているもう全員来年7月末に苗場集合ね!? そのときはタイムテーブルを見て、お気に入りのアーティストのステージ目がけてガツガツ積極的にまわるのも素敵ですが、こうしたメガフェスではぜひ“偶然の出会い(=一期一会)”を大切にしていただきたいと思っています。たまたま初めて見かけた&聴いた音が一生のお気に入りになるかもしれない、希少な体験ですから♪
もし「FRF行けなかった!」「いまだに #フジロックロス!!」「わたし(ぼく)の夏、まだ終わってない!!!」と夏フェス消化不良気味な方は、ぜひ一度10月7日(土)・8日(日)に富士山麓にて開催される<Camp in 朝霧Jam>へ足を運んでみてください。同じ感覚で心の底から楽しめるイチ推しフェスです♪