榮水亜樹、藤堂、松原健という、世代も使用メディアも異なる作家たちが邂逅する。それぞれの展示空間を構成するのは、建築家・柳澤孝彦デザインし、桜製作所が製品化したスツールだ。2023年7月29日(土)まで「MA2 ギャラリー」にて開催中。
🎨CULTURE
秘められた記憶を呼び起こすグループ展
現代アート作家・榮水亜樹、藤堂、松原健と名作スツールの出合い
複数の作家が参加するグループ展が楽しいのは、異なる作風同士の化学反応が見られるから。そして何より、個性様々な作品が並ぶなかにどこか通底するテーマを探るのが面白い。一人の世界にどっぷり浸かるのではなく、不思議な融和のある空間こそが醍醐味かもしれない。
今回恵比寿の「MA2 ギャラリー」が開催する『キオクハトキカ』展は、まさにそんな味わいを提供する。
ディレクター松原昌美の確かな審美眼によって選ばれた、3人の作家。そこに、1948年から家具作りを続ける桜製作所が加わる。かつて建築家の柳澤孝彦が東京都現代美術館のためにデザインしたスツールを、本企画展のために初めて製品化。 榮水亜樹、藤堂、松原健の作品空間は、スツールと、桜製作所が誇るジョージ・ナカシマデザインの家具とによって構成される。
長い生命の記憶を持つブラックウォルナット材で製作されたスツール。端正で、しかし温もりもある直線と平面が、三者三様に「時間」や「記憶」を彷彿させるアート作品に優しく寄り添い、もしくは対峙している。
鑑賞者の感情に訴えかける3作家の作品と、精緻な家具が織りなす展示。期間中は、どれも購入することが可能。ゆっくりと歩きながら、美しい空間に心身を浸したい。
ℹ️
【企画展『キオクハトキカ』】
会期: 2023年7月7日(金)〜29日(土)
会場: MA2 Gallery
住所: 東京都渋谷区恵比寿3-3-8
時間: 13:00〜18:00(日月祝休廊。火曜日は事前にメールでアポイントが必要)
Tel: 03-3444-1133
Text: Motoko KUROKI