さまざまなジャンルでモノクロームの話題が飛び交っています。 旬のクリエイションや現象から、いま注目すべき理由を考える。
🎨CULTURE
アニメの新鋭監督作品からネットフリックス新作まで、映画界も黒白に夢中
なぜ今、黒と白なの⁉最新トピックス3
単色画面でアニメの本質を知る
2023年7月、伊藤潤二原作『Uzumaki』の新規映像が発表され、漫画同様の白黒画面が注目された。無彩色の魅力と旬の作家を、アニメ評論家の土居伸彰さんに聞いてみた。
「モノクロ作品はグラフィック表現としてのアニメの要素を強く持っています。線と形による“動く絵”の本質に近づくのでしょう。さらに、制限された映像では、作者と観客とで完成させる感覚が強まります。たとえば折笠良さんは随筆文を絵で再現。観る人は彼の読書を追体験します」
また、黒と白は、闇と光を連想させもする。実際、『黒 Black』と題されたトマーシュ・ポパクルの短編は、黒背景に白で光を表現。コントラストが効いた画面は、人間の内面をも雄弁に語る。木炭デッサンや砂絵といったモノクロ特有の技法も、単独作業に向いているため作り手の私的な心情が反映されやすいという。ナオミ・ヴァン・ニエケルクの『Box Cutters』でも、女性の葛藤がパウダーの滑らかな動きで描写されていく。
「そうしたアニメを観るのは、人の心の中へダイブするのと同じ。モノクロアニメは“普段光が当たらない部分”を顕にしてくれるのです」
伊藤潤二原作
『Uzumaki』
桐絵が暮らす黒渦町では、「うずまき」が人間を呑み込んでいく…。欧米でも熱狂的人気を誇るホラーがアメリカにてモノクロアニメ化。Toonamiにて放送開始予定。
Loading...
Photo: Miu Yasuda Text&Edit: Aiko Ishii, Motoko Kuroki, Junk Tatsumi Cooperation: Azumi Hasegawa