ボーダーレスでジャンルレス。そんな2020年代を軽やかに体現する才能やムーブメントが次々に登場している音楽シーン。国外シーンの動向を気鋭のライター、つやちゃんのセレクトでご紹介。
UKロックは2020s世代が大躍進!
ミュージシャン新勢力vol.02
世界的にもロック復活の兆しが見えつつある中、UKではよりオルタナティヴでユニークなアーティストが次々に登場しつつある。発端はやはりロンドン。一時期のポスト・パンクのリバイバルがひと段落した今、キーワードとなりそうなのはバンド・フォーマットの多様化。The Last Dinner Partyを筆頭に、よりシアトリカルで芸術性の高い、ネオ・ヴィジュアル系女性ミュージシャンの勢いが止まらない。
ハートワームス
Heartworms

今なお熱いサウス・ロンドンのシーンから登場したJojo Ormeによるプロジェクト、Heartworms。ゴスやインダストリアル、ダークなエレクトロニックからなる彼女の音楽は、どこかホラーでディストピア的。ミリタリールックでのデビューも鮮烈だった彼女だが、戦場を思わせる「Retributions Of An Awful Life」のMVも衝撃的で、その独自の表現には多くの関心が集まっている。
ザ・ラスト・ディナー・パーティ
The Last Dinner Party

バロックやグラム、ゴスの要素を巧みに取り入れたアートロックで知名度を上げ、シングル「Nothing Matters」わずか1曲で今もっとも熱いニューカマーとなったロンドン出身のフィメール・バンド。デヴィッド・ボウイに影響を受け、リボンやフリルをパンクに着こなすファッションや、童話や神話にヒントを得た劇場のようなステージングも魅力。
キャロライン
Caroline

名門インディレーベル「Rough Trade」からデビューしたロンドン出身の8ピース。即興セッション・バンドとして始まった彼らの歴史は流動的でミステリアス。そのサウンドもポストロックからフォークロア、ゴスペル、エモ……と一カ所に留まることがない。新しいバンドの在り方を具現化した静かなる革命児だ。
ブラック・カントリー・ニュー・ロード
Black Country,New Road

ヴァイオリンやフルートを巧みに取り入れたエクスペリメンタルなサウンドで、UKシーンに革新的な風を送り込んだBC, NR。2作目『Ants from Up There』は全英3位と、インディバンドとしては異例の成功を収めている。Jockstrapをはじめ各メンバーの個別活動も盛んで、バンドの枠にとらわれない緩やかなコミュニティとしての在り方も新鮮。
Text: Shino Kokawa Cooperation: Tsuyachan