ボーダーレスでジャンルレス。そんな2020年代を軽やかに体現する才能やムーブメントが次々に登場している音楽シーン。国外シーンの動向を気鋭のライター、つやちゃんのセレクトでご紹介。
アッパーの潮流に乗ったレイヴ界の新星たち
ミュージシャン新勢力vol.05
コロナ禍が落ち着き、クラブシーンが完全に息を吹き返した今、時代のモードも一気にアッパーへと移行。チルなサウンドに浸った反動か、EDM以来のフロアへの渇望が表面化。UKではジャングルやドラムンベースの高速ビートが再ブレイク。また、NYやロンドンではY2Kブームに乗ってエレクトロクラッシュやニュー・レイヴ・サウンドが再熱、「インディ・スリーズ(indie sleaze)」と呼ばれた当時の狂熱のムードが復活中だ。
シャイガール
Shygirl
サウス・ロンドン出身、UKダンス/クラブシーンでセンセーションを巻き起こすShygirl。昨年リリースの『Nymph』は、グライムやガラージといったUKらしいダンス・ミュージックの要素を取り込みながらも、より実験的なポップ・アルバムに出来上がっている。
スノウ・ストリッパーズ
Snow Strippers
Tatiana SchwaningerとGraham Perezによるエレクトロニック・デュオ。デトロイトを拠点に活動を続ける彼らはエレクトロクラッシュ、さらにはウィッチハウスと呼ばれるダーク&ホラーなサウンドで、現行レイヴ界で存在感を放っている。
フロストチルドレン
Frost Children
NY拠点のLuluとAngelのProst兄弟によるエレクトロポップ・デュオ。そのサウンドはいわゆるハイパー・ポップと呼ばれるもので、NYのインディ・スリーズ系のパーティでは彼らの「FLATLINE」が必須の一曲に。兄弟のファッションセンスからも目が離せない。
ニア・アーカイヴス
Nia Archives
今年の注目新人を占う「BBC Sound of 2023」や各種アワードにもエントリーするなど、UKクラブシーンの最重要ニューカマー。ジャズやダンスホールにも影響を受け、シングル「Baianá」ではラテン・パーカッションをサンプリングするなど、多彩な音楽性を発揮。
Text: Shino Kokawa Cooperation: Tsuyachan