音楽周辺のニュートピックスに始まり、韓国ミュージックの潮流、アップカミングなミュージシャン速報、あの人に聞いたプレイリストまで。今、知りたい、聴きたい情報を盛りだくさんでお届けする #耳を刺激するニュース の時間です!
早耳な人は知っている、HOTな4つのサウンド
耳を刺激するニュースvol.6
Sped Up
スピードアップ
TikTokで、既存の曲のスピードを上げて流すリミックスが乱立。テンポが速く声も高くなって印象を変えられるので、遊びの一種として多くの投稿を生んでいた。Steve Lacyの「Bad Habit」(写真上)やSZAの「Kill Bill」(写真下)のリリースで、ますます大きな現象に。新曲だけでなくLady Gaga「Bloody Mary」といった過去の作品までもがSped Upでアレンジされたことで原曲がヒットチャートに再浮上するケースも。また、最近は公式側があらかじめ高速化した音源を用意する事例も多い。特にK-POPは対応が早く、逆にゆっくり落としたslowed+reverbも含め、速度を上下させて収録することが増えた。実は20年前に同様の手法で広がったナイトコアいうジャンルがあり、今回はそのリバイバルとも言われている。最近では国内でも散見され、ますます盛り上がりそう。
Gacha Pop
ガチャポップ
Spotifyが今年新たに立ち上げた公式プレイリストでは、日本の楽曲を海外からの視点も盛り込みつつ独自にラインナップ。「複雑で次にどういう展開がくるかわからない」「音楽性が多彩でばらばら」「音程の高低差が激しく忙しないリズム」といったわくわくする特徴を、カプセルトイの“ガチャガチャ”からとってネーミングしている。これまでのJ-POPに代わる呼称として浸透し始めており、7〜8割が海外からのアクセスに。藤井風「死ぬのがいいわ」やYOASOBI「アイドル」の世界的ヒットによりあらためて熱視線が集まる中、K-POPとは異なる形で日本国内のミュージシャンが海外へ認知される経路が生まれているのが興味深い。むしろ、曲展開や歌詞の言語を無理に欧米の基準に合わせなくとも、そのままの“日本らしさ”として受け入れられる土壌ができつつあるのかも。
NEW GENERATION REGGAE
ニュージェネレーション・レゲエ
さまざまなジャンルを吸収・昇華しながら、新しい解釈でレゲエミュージックを届ける新世代のバンドがじわじわと注目を集めている。今年の7月にメジャーデビューを果たしたASOUNDや、ジャマイカに留学経験のあるシンガーのKon Ryuを中心としたYouth Of Rootsなど、20代のアーティストがエネルギッシュに活躍中。どちらにも共通するのは、歌詞に込められた社会的なメッセージ。《まどわされるな ころがされるな》(Moni Moni/ASOUND)、《深い洗脳から目を覚ませ》(THEME OF YOUTH OF ROOTS/Youth Of Roots)など、混沌とした世の中で生きる私たちを起き上がらせてくれるような言葉が紡がれている。ポジティヴなヴァイブスを自由に表現する彼らのリディムは、リスナーの心の拠り所となっていくはずだ。
Amapiano
アマピアノ
アフリカ発のビートが世界に広まるのは珍しい光景ではなくなったが、近年新たにクラブシーンを席巻しているのが「アマピアノ」。元来ハウスが盛んな国・南アフリカで、現地の音楽クワイトやジャズの要素と混ざり合い、独自の進化を遂げ生まれた。ログドラムというパーカッシブなベースサウンドを特徴に持ち、浮遊感の中で跳ねる新鮮な感覚のダンスミュージックとして若者を中心に拡大している。DJ StokieやMajor League DJz、Kabza De Smallなどの南アフリカのプレイヤーによって広まったが、最近ではSkrillexがSarz(ナイジェリア)、Vigro Deep(南アフリカ)といった現地のミュージシャンとコラボレーションを進めることで、話題が本格化。国内でもDJ/ビートメイカーのaudiot909がこのリズムの可能性を探るべく実験的なコラボ曲を作っている。
Text_Tsuyachan, Nico Araki, Fumika Ogura, Minori Okajima