スマホを自分のものにした途端、どっぷりSNSに依存してしまう小川市郎(阿部サダヲ)……。『不適切にもほどがある!』(TBS金曜夜10時〜)4話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。3話のレビューはコチラ。
誰しも、社会学者でも「不適切」の当事者になりうる
スマホを自分のものにした途端、どっぷりSNSに依存してしまう小川市郎(阿部サダヲ)……。『不適切にもほどがある!』(TBS金曜夜10時〜)4話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。3話のレビューはコチラ。
『不適切にもほどがある!』第4話では、令和に馴染み始めたかと思いきや、スマホを手にしてSNS依存症になってしまう小川市郎(阿部サダヲ)が描かれた。
令和から昭和へとタイムスリップしているキヨシ(坂本愛登)は、「ストーリーズのコメントに混じってたまにDMも来るみたいな感じ」と教室で回されるノートの切れ端の手紙(あの懐かしい折り方!)を堪能する。島崎藤村の「初恋」の授業をバックに、クラスメイトの静香(禾本珠彩)に甘酸っぱい思いを抱く。
一方、令和で暮らす昭和のオヤジ、市郎は初めて触れたチャットアプリに夢中になり、仕事で知り合った人々とのグループチャットにメッセージ連投をかまし、返事を要求する。既読無視にやきもきし、仕事が手につかなくなってしまう。タオルを投げたくなるような曲で昭和時代には当たり前だった連絡網のことを歌い上げる市郎に対し「ウェディング・ベル」風の曲に合わせて「SNSは本気で打ち込むものじゃない」とSNSとの距離感を伝える渚(仲里依紗)たち。
連絡網や駅の伝言板しかない世界からやってきた市郎が、あまりに簡単につながれてしまうSNSに中毒になってしまうのもわからないではない。昭和で「スマホを使わずに純子に会えた」と感動していたキヨシは昭和に対する順応性がずいぶん高い。キヨシのように一度手にしてしまったスマホをなくして(現在は市郎のものになっている)も平気でいられる自信は、私にはない。
なお、今回登場した携帯ショップ店員の若井を演じたのは大人計画の中井千聖。2020年、デビュー作の舞台『もうがまんできない』でも印象的だった。この4話でも、これからが楽しみになる存在感を残している。
Edit_Yukiko Arai