鈴木マサルによる展覧会『テキスタイルの表と裏-Looking through the overlays-』がスタート。2023年3月31日(日)まで、京都市内の5箇所の店舗やスペースに作品が並ぶ。堀川新文化ビルヂングのギャラリー「ニュートラル」がメイン会場に!
春の京都で鈴木マサルのテキスタイルに触れる
堀川新文化ビルヂングのギャラリーをメインに5店舗が会場に
〈オッタイピイヌ〉を主宰するデザイナー鈴木マサル。色鮮やかなプリントテキスタイルを中心に、その生地本来の魅力を引き出すコレクションを展開。ほかにも〈マリメッコ〉〈ユニクロ〉〈カンペール〉など、国内外の有名ブランドの製品開発にも携わりパターンデザインを提供している。
これまでさまざまなシーンにむけてプロダクトを生み出してきた鈴木が、京都で初めて展覧会を開催中。テーマとして焦点を当てたのは、テキスタイルの“表と裏”だった。
「人と外界との間に常に存在し、私たちに常に触れ、その身近さを感じさせるテキスタイル。そういう、人との距離が圧倒的に近い素材には表や裏がない方が良い。あらためて考えると、服は表側だけを装飾している事実に気づきますし、空間に設置されるときも概ね背中に壁や窓を背負うようにと、使用場所が限定されます。もしも布地に裏表の概念がなくなれば使い方もマインドも自由になり、色々なことから開放されるのではないかと思います」と鈴木。
本展では、表と裏をなくすことによるテキスタイルの自由な在り方を探求。プリントされたファブリックの可能性や領域を拡張したいという想いが込められている。
今回、展示会場は京都御所周辺の5箇所!メインとなるのは、堀川新文化ビルヂングの2階にあるギャラリースペース「ニュートラル」だ。
空間を包み込むのは、昨年初めてお披露目された“表と裏がない”両面シルクスクリーンのファブリックを新たにアップデートした作品。京都の染工場「浜田染工」の協力のもと、デジタルプリント手法を導入し、30mを超える一枚絵のようなテキスタイルが誕生した。
「京都らしいデザインソースを取り入れたいと考えるなかで、リピートの無い生地の反物と、物語が次々に展開していく絵巻物との相似性に辿り着きました。なかでも漫画やアニメーションのルーツとされる『鳥獣人物戯画』に着目し、4巻構成の中でも昔の動物図鑑と例えられている『乙巻』からインスピレーションを得て、伝統と現代が融合したデザインを創り上げました」
同時に〈オッタイピイヌ〉のポップアップストアも。傘やファブリックのほか、ブランド設立20周年を記念したアップサイクルバックが登場。
そのほかの各会場も本展に合わせて鈴木が制作した新作のプロダクトが集結する。「カリモクコモンズ京都」では、昨年東京で展示した“裏と表が無い”新たな概念のテキスタイル作品が出現。〈石巻工房 by Karimoku〉とコラボレーションしたスツールや鳥のオブジェを受注販売。インテリア用品を扱う「カノン」は、〈オッタイピイヌ〉のカーテンやラグをオーダーできる。「アリア京都店」には、刺繍テキスタイルを張った、秋田木工の名作スツール「No.202」が。「むす美 京都」は、両面にプリントを施した風呂敷のコレクションが揃う。店舗それぞれでちがうデザインのオリジナルステッカー(*数量限定)のプレゼントも用意されているので、巡るのも楽しいはず。
だんだんと暖かな風を感じ、桜の開花も待ち遠しい今日この頃。春の京都の散策とともに展示をゆっくりと堪能したい。
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鈴木マサル
2004年からファブリックブランド 〈オッタイピイヌ〉を主催。2014年からスタートした富山の魅力を模様で表現した「富山もよう」が第35回新聞広告賞を受賞。2016年4月にイタリア・ミラノで開催された展覧会「Imagine New Days」(主催アイシン精機株式会社)に参画し、Milano Design Award 2016 “BEST ENGAGEMENT by IED” を受賞。2016年8月に書籍「鈴木マサルのテキスタイル」(誠文堂新光社刊)を上梓。2017年12月に三菱地所アルティアムにて展覧会『鈴木マサルのテキスタイル 目に見えるものすべて色柄』を開催。現在、東京造形大学教授、有限会社ウンピアット取締役。
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【テキスタイルの表と裏-Looking through the overlays-】
会期_開催中〜2024年3月31日(日)
「NEUTRAL」
住所_京都府京都市上京区皀莢町サイカチチョウ287
堀川新文化ビルヂング 2F
時間_10:00〜19:00(会期中無休・入場無料)
「Karimoku Commons Kyoto」
住所_京都市中京区姉小路通堺町西入大阪材木町 685番地 2番
営業時間_12:00〜17:00
*3月24日(日)は休館
「Kanon interior fabrics」
住所_京都市中京区押小路通り麩屋町西入る橘町623
営業時間_10:00〜18:00
*会期中無休
「ARIA KYOTO STORE」
住所_京都市左京区北白川堂ノ前町46-2
営業時間_12:00〜18:00 会期中無休
「むす美 京都店」
住所_京都市中京区三条通堺町東入桝屋町67
展示期間_3月14日(木)〜4月9日(火)
*会期中無休
営業時間_11:00〜19:00
Photo_Daisuke Oki Text_Nico Araki