SIDE CORE《big letters, small things》, 2024 撮影:大野隆介
2024年6月9日(日)まで「第8回横浜トリエンナーレ」が開催中だ。美術館だけでなく街なかのさまざまな場所で、クリエイティブな表現に触れられる。
3年ぶりの芸術の祭典は“野草”をテーマに展開
SIDE CORE《big letters, small things》, 2024 撮影:大野隆介
2024年6月9日(日)まで「第8回横浜トリエンナーレ」が開催中だ。美術館だけでなく街なかのさまざまな場所で、クリエイティブな表現に触れられる。
2001年に始まった「横浜トリエンナーレ」。もともと国際色の強い土地柄もあり、世界中のアーティストの作品を紹介してきた。発足当初から掲げているのは、「現代アートの良質の入門編になる」という目標。第8回目の今回、この原点に立ち戻り、幅広い層の人がそれぞれの方法で芸術に出合うタッチポイントを創生している。
「横浜美術館」のほか、「旧第一銀行横浜支店」や旧横浜生糸検査所付属倉庫の復元施設「BankART KAIKO」、さらに元町・中華街駅連絡通路等といったスペースが展示会場に。横浜市中区の黄金町でアートによるまちの再生に取り組むNPO法人「黄金町エリアマネジメントセンター」など地域の拠点とも連携している。
芸術祭のサブタイトルは、“野草:いま、ここで生きてる”。魯迅の詩集『野草』から取られたテーマだ。今回アーティスティック・ディレクターを務める芸術家リウ・ディン(劉鼎)とキュレーターのキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)にとって、1920年代半ばの中国という暗澹とした時代を背景に書かれたこの作品は、現代の私たちにも大きな示唆を与えるものだという。希望が潰えたかに思えたときこそ、光を見出すことに全力を注ぎ、そこからある種の楽観…つまり野生の生命力が生まれるはず。無秩序に見える野草は、不確定のエネルギーを持っている。そうしたアイデアから、今回の「横浜トリエンナーレ」は芸術的活動によって「野草」を創っていくことを目指す。ともに中国にルーツを持つディンとルーならではの、東アジアの現代史と絡めた展示にも注目したい。
パンデミックを経て際立つ格差や、紛争、走り続ける新自由主義。アートは、そうした複雑な現実を体験させてくれるツールにもなる。私たちは鑑賞者でありながら、時代を生き抜く主体でもある。作品を通して、全く違う人生を歩む遠くの誰かとつながり連帯していくこともできるだろう。
会期_開催中〜2024年6月9日(日)
*4月4日、5月2日、6月6日を除く毎週木曜休場。
会場_横浜美術館(神奈川県横浜市⻄区みなとみらい3-4-1)、旧第一銀行横浜支店(神奈川県横浜市中区本町6-50-1)、BankART KAIKO(横浜市中区北仲通5-57-2 KITANAKA BRICK & WHITE 1F)、クイーンズスクエア横浜(横浜市西区みなとみらい2-3クイーンズスクエア横浜2Fクイーンモール)、元町・中華町駅連絡通路(*みなとみらい線 元町・中華街駅 中華街・山下公園改札1番出口方面)
料金_一般2,300円、横浜市民2,100円、学生(19歳以上)1,200円、18歳以下または高校生以下無料
*アートイベント「BankART Life7」・「黄金町バザール2024」とのセット券なども販売。
*オンラインまたは会場窓口にて販売。
時間_10:00〜18:00(入場は閉場30分前まで)
*6月6日(木)〜9日(日)は20:00まで開場。
Tel_050-5541-8600(ハローダイヤル、9:00〜20:00)
Text_Motoko KUROKI