川内ミヤビ(杉咲花)に与えられた薬に疑問を抱く三瓶友治(若葉竜也)。記憶障害の謎が少しずつ明らかになってきた『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系月曜夜10時〜)6話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。5話のレビューはこちら。
杉咲花×若葉竜也『アンメット』6話。大迫(井浦新)の不審な行動
三瓶はミヤビの「影」を 消すことができるか
考察『アンメット』6話
ミヤビを、患者を
理解してくれる院長
大迫(井浦新)の不審な行動が明らかになり、ますます不穏な空気が色濃くなってきた6話。けれど、同時に川内ミヤビ(杉咲花)を取り囲む人々の思いと行動に心強くなる回でもあった。
脳出血の後遺症でてんかんの発作を起こした患者・山本(鈴之助)が運ばれてきた。てんかんの発作は繰り返す可能性が高いため、山本には抗てんかん薬が処方される。記憶障害をもつミヤビにも、主治医である大迫から抗てんかん薬が処方されていた。本来は推奨されていない予防投与が行われていることを知り、三瓶(若葉竜也)は疑問を持つ。
てんかん薬服用に伴い、睡眠時間をとるため夜勤を減らしたいという要望を出した山本。しかし、それをきっかけに職場で上司から休むよう勧められてしまう。ミヤビは、直接山本の上司と話す機会を設けてもらうことに。大胆な行動に出たミヤビに不安を抱き、話し合いについてきた院長・藤堂(安井順平)はミヤビに対し「穏便に」と繰り返す。話し合いの場で、上司は「特別扱いはできない」の一点張り。ミヤビは「むしろ特別扱いしないでほしい」と伝えるが、上司には伝わらない。たまりかねた藤堂が口を挟む。
「特別扱いではなくて、理解してほしい、と申し上げているんですよ、さっきからうちの川内は」「いちばんつらいのは、できることをさせてもらえず、可能性を絶たれてしまうことなんです。まあかくいう私も最近それを学んだんですがね」
6話冒頭、関東医大の西島会長(酒向芳)の突然の来訪に、とるものもとりあえず駆けつけ、バタバタと対応するさまからは、上の人間に弱い藤堂の性格が伝わってくるようだった。けれども、ミヤビが周りの協力を得て脳外科医として復帰する姿を見守り、それこそ理解を深めてきた藤堂は、いざとなればミヤビのような患者の側に立つ。こんなに心強いことはない。
そればかりか、うやむやに話を打ち切ろうとする会社側に、障害者雇用促進法で税制優遇を受けているはずだと指摘し、結果山本の雇用を継続させたようだ。本人は「やりすぎた」と言っているが、視聴者からすれば院長を全力で讃えたくなる名シーンだった。
Edit_Yukiko Arai