国内外の気になる場所をピックアップ。夏休みのおでかけのヒントにも!
地元の人々と完成させるスキーマ建築計画の“半建築” って?
いつも地元の人々と完成させる
スキーマ建築計画の“半建築”
「半建築」のコンセプトを掲げ、各地でユニークなプロジェクトを展開している建築家・長坂常。彼が率いるスキーマ建築計画はその土地や歴史と丁寧に対話しながら既存の環境をうまく活かし、またそのプロジェクトに出入りし、使用する人たちとのコミュニケーションから建築自体が完成していくようなプロセスに定評がある。最近では東北や瀬戸内、そしてニューヨークのブルックリンなど、日本全国、世界各地にその活躍の場を広げている。時にデザインやコンセプトが立ち、かしこまりすぎてハードルが高くなりがちな建築も見受けられるが、スキーマ建築計画のそれはいつもどこかおおらかで温かく人を迎えてくれるようなカジュアルさが心地いい。
商業店舗やカフェ、オフィス、アートギャラリー、そして銭湯など……いつもその地盤が持つ固有のストーリーを活かしながら、人が集う場所としての「半建築」。ひとつのプロジェクトとして建築が建って終わり、というのではなく、最終的な半分を完成させるのは実際にその空間を訪れる人々なのだろう、と思わせる。
立ち呑みura
岡山県・倉敷市の美観地区にできた立ち呑みura。昼間は観光客で賑わうものの、夜はひと気のない寂しい場所となり、地元住民にとってはそこに住むアイデンティティや誇りを保つのが難しくなってきていた。このuraの場所は、もともと大正時代に作られた立派な古民家の傍に、戦後の寄せ集めの材料で作られた。まるで母屋に寄生するような頼りない建物だったが、今回ファサードの角度を工夫し、バーとすることで次世代を担う若者や観光客も集うランドマークとして生まれ変わった。
ℹ️
Text_Mariko Uramoto