アレック・ソス《Anna, Kentfield, California》〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉より 2017年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth
2024年10月10日(木)から「東京都写真美術館」にて写真展『アレック・ソス 部屋についての部屋』が開かれる。初期作から、世界初公開となる最新作まで約60点が一堂に。生まれ育ったアメリカ中西部など、各地をめぐるロードトリップ作品の印象が強いソスだが、今回のテーマは「部屋」だ。
🎨CULTURE
アレック・ソスが親しみを感じる“部屋”にフォーカス
世界初公開作含む約60点が「東京都写真美術館」に集合
写真を撮るうえで自分の手法を模索するなかで、とてもしっくりときたのが路上に出て旅をしながら撮影することだったという写真家アレック・ソス。ミシシッピ川流域に暮らす人びとをとらえたシリーズ[Sleeping by the Mississippi]や、ナイアガラの滝のアメリカ側とカナダ側の両サイドを回ってウェディングドレスをまとった新婦やモーテルを収めたシリーズ[Niagara]に代表されるように、ソスといえば旅先の出会いを記録した作品が思い浮かぶ。
写真はミネソタ州からルイジアナ州まで続くミシシッピ川に沿った旅の過程で収めたシリーズ[Sleeping by the Mississippi]より。
アレック・ソス《Crystal, Easter, New Orleans, Louisiana》〈Sleeping by the Mississippi〉より 2002年 作家蔵 ⓒAlec Soth
制作に約2年かかったというシリーズ[Niagara]。アメリカ人にとってのハネムーンの聖地で、人間の内面や地方都市の経済衰退までもを写し出した。
アレック・ソス《Two Towels》〈Niagara〉より 2004年 作家蔵 ⓒAlec Soth
ニューヨークからシリコンバレーへ横断しながら、ダンスパーティーやフェスティバルに参加し、地域社会に集う人々の生活を記録したシリーズ[Songbook]。モノクロなのも珍しい。
アレック・ソス《Bil, Sandusky, Ohio》〈Songbook〉より 2012年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth
旅からの連想で、外の風景を多く残しているように感じられるが、本展におけるテーマは「部屋」。「ポートレートや風景、生物などを定期的に撮影しているが、もっとも親しみを感じるのは室内の写真だったから」とソスは述べている。
2007年に発表された写真集『Dog Days, Bogota』より。養女を迎えたソスが、娘が生まれたボコタの街を収めた。
アレック・ソス《Untitled 07》〈Dog Days, Bogotá〉より 2003年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth
世界初公開となる最新作シリーズ[Advice for Young Artists]より。2022年から2024年にかけてアメリカの美術学校を舞台に撮影。
アレック・ソス《Still LifeⅡ》〈Advice for Young Artists〉より 2024年 作家蔵 ⓒAlec Soth
本展のきっかけとなったのは、2019年に作品集として発表した[I Know How Furiously Your Heart is Beating]。舞踏家兼振付家のアンナ・ハルプリンや小説家ハニヤ・ヤナギハラなど、ソスが世界各地の人びとを訪ね、彼らが日々を過ごす部屋のなかでポートレートや持ち物を撮影したシリーズだ。
この作品集の制作を行う前、一年以上旅も撮影もせず過ごしていたソス。彼が再び写真の世界に戻るとを決めたとき、「ただ人を見つめることに時間を費やしたいと思うようになった」という。被写体の内的な生活に触れるため、また、その写真がどこか特定の場所を語るためのものではないことを強調するため、撮影はすべて室内で行うと決めたのだそう。
[I Know How Furiously Your Heart is Beating]を起点に6つのセクションで構成される本展。さまざまな部屋と、そこにたたずむ人物に意識を向けることで、わたしたちに見えてくるものとは？
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アレック・ソス
写真家
1969年アメリカ・ミネソタ州ミネアポリス生まれ。現在も同地を拠点に活動。これまでに、『Sleeping by the Mississippi』(Steidl、2004年)、『Niagara』(Steidl、2006年)、『Broken Manual』(Steidl、2010年)、『Songbook』(MACK、2015年)、『I Know How Furiously Your Heart is Beating』(MACK、2019年)、『A Pound of Pictures』(MACK、2022年)など、数多くの作品集を出版。
「Alec Soth: The Space Between Us」(ジュ・ド・ポーム、パリ、2008年)、「From Here to There: Alec Soth's America」(ウォーカー・アート・センター、ミネソタ、2010年)、「Gathered Leaves: Photographs by Alec Soth」(メディア・スペースロンドン、2015年)など個展も多数。2022 年には日本の美術館で初の個展「アレック・ソス Gathered Leaves」(神奈川県立近代美術館 葉山、神奈川)が開催された。2004 年に国際的な写真家集団「マグナム・フォト」に参加し、2008年より正会員。2008年から出版や教育活動を行うレーベル「Little Brown Mushroom」を主宰している。
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【アレック・ソス 部屋についての部屋】
会期＿2024年10月10日(木)〜2025年1月19日(日)
会場＿東京都写真美術館 2階展示室
住所＿東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間＿10:00〜18:00(木金〜20:00)＊入館は閉館30分前まで
観覧料＿一般¥800、学生¥640＊オンラインで日時指定チケット購入可
Tel_03-3280-0099
【アレック・ソス アーティストトーク】
日程＿2024年10月12日(土)
時間＿14:00〜16:00
会場＿東京都写真美術館 1階ホール
定員＿190名(整理番号順入場、自由席、逐次通訳付き)
参加費＿無料
＊整理券の配布は当日10:00から1階総合受付にて
【担当学芸員によるギャラリートーク】
日程＿2024年10月18日(金)、12月6日(金)、2025年1月10日(金)
時間＿14:00〜
会場＿東京都写真美術館 2階展示室
＊12月6日、1月10日は手話通訳付き
＊当日有効の本展チケット、展覧会無料対象者は各種証明書を持参のうえ、展示室入口に集合
Text_Ayako Tada
