2024年10月12日(土)から2025年1月19日(日)まで、「金沢21世紀美術館」にて、『コレクション展2 都市漂流』が開かれる。館の収集の歴史を振り返りながら、「都市化」というテーマを軸に各国アーティストの作品が展示される。
金沢21世紀美術館で都市と個人を考える
『コレクション展2 都市漂流』が呼び覚ます日常の記憶
2024年に開館20周年を迎えた「金沢21世紀美術館」。そのコレクション収集方針の一つに、「1980年代以降に制作された、新しい価値観を提案する作品」というものがある。年間を通じて催される大規模なコレクション展第二部は、「都市化」がテーマ。近代以降を表す重要なキーワードであり、現代美術においても数々の作家が取り上げてきた主題だ。そして多くの場合、都市は、資本主義の発展やグローバリゼーションといった“大きな物語”とのつながりで語られてきた。
しかし、本展の主眼はもっとミクロな部分に置かれている。収蔵品から選ばれたのは、都市化という奔流の只中に漂う個人へのケアを探る作品だ。そこでは都市は一人一人が毎日の生活を営む場として現れる。それゆえ、出展作は孤独や寂寥、享楽やノスタルジーなどさまざまな情感を運ぶ。都市はあくまでパーソナルな記憶の舞台であり、作品鑑賞者は、忘れかけていた日常の感動を思い起こすことになるのだ。
展示されるのは、日本、中国、トルコ、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ベルギーなどの世界各国のアーティストの作品。いずれも個人の体験をモチーフにしながら、消費社会や出稼ぎ労働者、移民、異文化受容などの都市化の課題を描き出す。
作品群内に立ち現れるのは、変わりゆく都市の景色の中を漂流する個人。それは鑑賞者自身のことでもある。『コレクション展2 都市漂流』を通して、さまざま感情に向き合ってみたい。
展示は前期と後期の二期制で、一部作品が入れ替えられる。2024年12月1日(日)までが前期となり、12月3日(月)から2025年1月19日(日)までが後期となる。11月以降は、キュレーターやインターンシップ研修生によるギャラリーツアーも実施予定。
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『コレクション展2 都市漂流』
会期_2024年10月12日(土)〜2025年1月19日(日)
会場_金沢21世紀美術館
住所_石川県金沢市広坂1-2-1
開館時間_10:00〜18:00(金土は〜20:00)
休館日_毎週月曜日(ただし10月14日、10月28日、11月4日、1月13日を除く)、10月15日(火)、10月29日(火)、11月5日(火)、12月29日(日)〜1月1日(水)、1月14日(火)
Tel_076-220-2800
Text_Motoko KUROKI