輝いている女性たちはどんな物語を歩んできたのか?そこにはあなたの迷いを晴らすヒントが隠れているはず。いざ、先輩たちに教えを請う「私の人生が変わった時」。
ファッション界のパイセンに聞く! 人生の変身メモリアル: 司法修習生 海老澤美幸さん

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海老澤美幸
慶應義塾大学法学部で学んだ学生時代はサークル「JADE」に所属しダンス三昧の日々。昔から何かに向かって全速力の性分。
今は裁判所などに出勤するので「上品できちんと感のあるものをいろいろ探した結果、日本女性を知り尽くす国内ブランドの良さを再認識」したそう。この日は〈ロペ〉のブラウスに〈マーク ジェイコブス〉のバッグ。
◎1999年 官僚から雑誌編集者に
◎2003年 ロンドンで武者修業
◎2011年 ロースクール入学を決意
◎2015年9月 司法試験合格!
◎同11月 最高裁判所司法研修所に入所
弁護士目指して華麗に転身!
ファッションエディターから弁護士へ。海老澤さんは驚きの転身物語のヒロインだ。めまぐるしいファッション界に辟易(へき えき)しての決断かと思いきやさにあらず。
そもそも大学卒業後は自治省に入省し世にいう〝官僚〟を1年半経験。しかし「どうしてもファッションがやりたい。若い今の時期を逃してはいけない」とキャリアを投げ捨て、いきなり出版界に飛び込んでしまう。そうしてファッション誌の編集者として経験を積んだ4年後、「編集=スタイリングを手がけない日本のシステムに次第にストレスを感じるように」なり、今度は渡英。本場でスタイリストのアシスタントとして修業し、帰国後ついに〝ファッションエディター〟として独立するという、並々ならぬモード魂の持ち主なのだ。
さて本題。2011年、彼女はロースクール入学を決意する。「日本の業界って、たとえばアーティストの権利が曖昧だったり、夜中まで休日を返上しての仕事が当然だったり、現場の環境が過酷なんです。みんな困っているから、なんとかしなきゃいけないんじゃないか? 業界にも法律にも精通している人が一人くらいいてもいいんじゃないか」、そう思い立ってしまうのだ。
つまり動機は、ファッション界への愛ゆえ。決断力と行動の人は「正直辛かった(笑)」と明かすほど勉強に打ち込み、見事司法試験に合格。今年、司法修習課程を修了すれば、晴れて弁護士として歩み始めることになる。
「知り合えなかった人とつながって、自分の可能性が広がっていくのが楽しいんです。法律問題の解決はライフワークになりますけど、いつの日か自分で雑誌を作ったりしているかもしれない」
彼女の未来予測は、まだまだ未知数だ。
一時はロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに入学するも、「実地経験を積まねば意味がない!」と学校は離れ、スタイリストのマルコ・マティシックに師事。ひと通り経験を積み、フリーとして独立するため日本へ帰国。
MILAN COLLECTION in 2004
ミラノコレクションへ行ったファッションエディター時代の1枚。〈グッチ〉のピーコートで全身黒ずくめ。「モードでいなくてはという気合だったのかほぼいつも黒。前髪も今より重めで攻めてました(笑)」
SHOOTING for GINZA
フリーのスタイリストとして活躍していた頃のGINZAで手がけた仕事のひとつ(2009年12月号)。「イメージ通りの絵を作りたくて、撮影小物やロケ場所などもとことん調査。夜中でも仕事の毎日でした」
At the LAW SCHOOL in 2013
朝から晩まで勉強して一橋大学法科大学院に入学。2年間集中して学んだロースクール時代の級友との写真。「周りは20代の若くて頭のいい子ばかり(笑)。いろんな場所で知り合いが増えて楽しかったです」
Photo: Shin Hamada Text&Edit: Aiko Ishii