半年前まで『ギンザ』のブラザー的存在の『ポパイ』編集部に6年間ほど在籍していた編集者、コクブユウさん。自身の好きなカルチャーについて「おそらく僕の真ん中は、みんなの端っこ的だ」と解釈する彼が、世の中のB面的な人、モノ、コトを紹介します。
13歳と16歳のグラフィティ・ライターSHART&BAHK現る。コクブユウ、俺の端っこ趣味 vol.1
現代美術作家の加賀美健さんのお店『STRANGE STORE』って行ったことありますか?ある日加賀美さんが「今日ZOBAGSを背負った小学生と中学生の兄弟が来てね」とおっしゃってた日がありまして、今日はその時に僕の(俺の)端っこ警報が鳴ったお話にしようかなと思います。
なんでかって、冒頭の、ギンザ&ポパイの”ブラザー的存在”の伏線回収みたいでデキるやつっぽいからです。
グラフィティ・ライター兄弟、現る!
彼らは当然ただの兄弟ではなく、グラフィティ・ライターです。兄・SHARTは16歳、弟・BAHKは13歳。昼は普通に学校行ってます。活動の始まりは2013年で、兄SHARTが街のグラフィティやアーティストが残したステッカー等の写真を撮りためるようになり、弟BAHKが自然とそれに習い徐々に2人で動き回るようになりました。
脚立に登っている黒TがSHART(当時中3)で、青TがBAHK(当時小6)。自分にとっては年齢的にも”端っこ”な彼ら。
グラフィティに興味のある小中学生から、実際にライターとなる大きなきっかけは2015年。マイアミのアーティスト、atomikoが来日すると聞きつけた2人は「会いたい!」とatomiko本人に連絡。返事をくれて会えることになった上に、実際描くところも見れたりしちゃったもんで、のめりにのめり込んでいくわけです。
ちなみにatomikoの作品はこんな感じ。見たことあるでしょ?
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ちょうど現在(11/4まで)代官山に新しく出来た『JINKINOKO GALLERY』のこけら落としで展示中なので是非見に行ってほしい。atomikoは気合い十分の様子で、結構な”ブツ”を持参。
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早熟さ故の感受性の強さにジーン…。
街で撮影した写真や作品集等を見ながら、練習のために見よう見まねで学校の机に(自分以外の)アーティストの絵やタグを描きまくっていた(ダメだよ〜!)が、atomikoとの出会いがきっかけでどうしても「自分の名前で描いてみたい」という想いが強くなり、「こういう人がいるなら俺らもやってみようか」という感じでSHART&BAHKが生まれた。それからはグラフィティの為だけにニューヨークやパリに行っちゃったりもして。フットワーク軽すぎるし。
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影響を受けたライターは数々いるそうだが、中でもREMIOとORFNが大好きらしい。 「いつか忘れたけどREMIOが亡くなった人の名前を街に描いてることを知って、それがきっかけで亡くなったORFNのことも知ったんです。」(SHART)
僕がshartとBAHKを好きになった理由は、彼らがただただ若くて早熟なグラフィティライターだとかって話じゃなく、「態度」がすでにライターなこと。ORFNが亡くなったことを知り彼の娘に「自分たちにできることはこれだけ」と寄付をしているのだ(すごすぎて……凹むっす)。
バッグの中身を拝見しちゃおう
ここで突然ですが!久しぶりに2人に会ったので、なんとなく雑誌みたいなことしたいなーと思いまして、『バッグの中身拝見!』をしてみました(笑)。
2人はいつも『ZOBAGS』。わーわーわー!!!
「中身見せて」と言ったらめっちゃ雑に出してくれました。こういう些細な行動からヤングジェネレーションを実感できます。そして整えました。
まずはSHARTの持ち物。「MTN 94 400ml」のスプレー缶、「KRINK K-60 Paint Marker」、各種マジックなどがっちりライター感あり。鉛筆は学校用みたいだけどシャーペンじゃないのがいぶし銀。『ZOBAGS』からリアルにスプレー缶出てきたの初めて見るかも。
BAHKの持ち物。ギャッツビーが入っていてなんか安心。カメラ、キャップ、鼻炎スプレーなど、BAHKの方が身だしなみに気を使っている様子だ。ユニチャームの除菌用ウェットティッシュが入ってるのやばい。財布は手作りらしい(グレーのやつ)。
こういうのもいちいち格好いい。 ノートの中身は以下のような感じ。世界中を巡ってアーティストに会うたびに描いてもらってる。 ちなみに下のオレンジのページはクラスメイトの女の子「うるせー」(※アーティスト名です)のタグ。
気になる…SHART&BAHKの素顔
顔出しできないのが残念だけど、この矯正を見かけたらSHARTです。マーク・クロスのお店「muddguts」のTシャツを着てる。まだ行ったことがないみたいだけど、「ORFN好きだから今一番行きたい場所かも」と。
後ろ姿は大体いつもこの感じ。なんか神々しく撮れちまった。。
こちらBAHK。ブレちまった。。
2人をぜひ末長く追いかけてみてね。そのうち端っこじゃなくド真ん中になったら嬉しいな。 あらためて話を聞いて驚いたのは、てっきり親御さんの影響でグラフィティにハマったのかと思っていたのだが、SHARTがハマって、BAHKがハマって、今はお父さんが2人を追いかけるようめちゃめちゃハマってるということでした(笑)
その流れめずらしいね〜的な話でわいわいしてると、無口なshartが最後にやっと口開いたと思ったら、「お父さんはインベーダーが好きでフランスのリアクティビベーションチームっていう修復クルーに参加したんだけど、直してる最中に.…捕ま」
うん、言わないで。
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SHART BAHK ATOMIKO #atomiko #shart #bahk
SHART
グラフィティ・ライター。お兄ちゃん、16歳。
@shart_is_art
BAHK
グラフィティ・ライター。弟、13歳。
@bahkwashere
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コクブユウ
編集者。幼少期からスノーボードをしながら山籠り&放浪生活を送るも、一転フィールドを山から街(シティ)へと移し、2013年~今年3月まで雑誌『POPEYE』のコントリビューティング・エディターを務める。「3月生まれなので生年月日で席順を決められていた小学生の頃はいつも一番端っこの席でした」
cooperation: DMB Production Edit:Karin Ohira