見て、選び、着ることで生まれる経験と美学。スタイリストが語るフィロソフィーとルールから、“私”を導く装いのヒントを手に入れたい。#毎日のワードローブ哲学
山本マナ:「メンズのエッセンスが、ファンタジックを引き締める」。スタイリストが語る、毎日のワードローブ哲学
メンズのエッセンスが、ファンタジックを引き締める
山本マナ
「ガーリーですねって言われると、なんだかもやもやするんです」
開口一番にそう言った山本マナさん。フリルブラウスやチュール使いのスカートなど、遊びとパンチの効いたアイテムの着こなしを常としているが、そこには確固とした決まりごとがある。ひとつはフェミニンすぎるものは選ばないこと、もうひとつは、リラックスできるメンズやボーイズのテイストを必ずミックスすることだ。
「“美人できれい”という雰囲気のタイトシルエットや、肌が透けて見えるシフォン素材は選ばないし、ガーリーすぎる大げさなレイヤードスタイルも苦手です。インパクトのあるデコラティブなものはコーディネートにひとつだけ使って、あとはジャージーやTシャツ。全身女の子でも全身メンズでもない、両方を混ぜてる感じかな」
今日の主役はひと目惚れしたという〈バレンシアガ〉の鮮やかなピンクのシャツワンピース。グレーのキャップに、足もとは〈プーマ〉のR-SYSTEMだ。アッパーの一部にはシースルー素材が使われていて、そこからワンピースに合わせたピンクのソックスがちらりと覗いている。
「スニーカーはいつもメンズを買います。私、25cmならギリギリはけるんですよ。レディスにも同じカラーリングがあるかもしれないけれど、全身トータルのバランスでみたときに、甲幅の広さやボリューム感がしっくりくるのは男性用なんです」
さりげなく、しかし徹底的に考え抜かれた按配で完成するスタイル。
「いちばん大事なのは、気分の上がる服を楽しんで着ること。でも年齢とともに“いかに品を保つか”、そのバランス意識の必要性を強く感じています」
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山本マナ
スタイリングの信条は「ファンタジーとユーモア、品性と芯の強さが同居していること」。キャラクター好きな一面もあり。ポケットのない服は苦手。
Photo: Yuri Manabe Text&Edit: Sakiko Fukuhara, GINZA