もの選びひとつにも独自のセンスや嗜好があふれている、男の愛用品。私たちが取り入れるうえでのアドバイスも聞いてみた。#ファッションのプロが愛用するアイテム
〈ファセッタズム〉デザイナー/落合宏理はスケートブランドのTシャツ。ファッションのプロが愛用するアイテム vol.4
スケートブランドのTシャツ
落合宏理
〈ファセッタズム〉デザイナー
お腹のイラストは、サンフランシスコ拠点のアーティスト、バリー・マッギーのハンドペイント。右胸は、音楽ライヴで譲り受けたワッペンでアレンジ。
味わいを重ねた、マイ・ヴィンテージ
1981年に創刊したスケートボードと音楽の専門誌『スラッシャー マガジン』のオリジナルTを20年愛用。「歳を重ねるにつれて愛着が増している」と落合さんが偏愛する1枚だ。
「今では世代や性別問わず愛されるスケートカルチャーですが、僕が20代の頃は、まだユースの男の子たちの特権でした。自分の主義や主張を表明する戦闘服のように身にまとい、好きなミュージシャンやグラフィックアーティストが来日した際には、必ず袖を通して現場(ライヴ会場)へ足を運ぶ。
そして、会場でTシャツのボディにサインを描いてもらうのが恒例で、そうやって自分の思い出や足跡を刻んできました」 好きなことにまっしぐらなピュアさ全開の青春期を共に過ごした1枚は、今では自分だけの味わいを重ね、ほかのユーズドとも異なる歴史や深みを醸し出している。
「Tシャツは服であり、アートでもある、と思うんです。だから、袖を通さないときはオブジェのように壁に飾っています。当時、約2000円で購入したものが、今ではお金に代えがたい価値あるものになりました。ストリートにおいて“自由の象徴”的なアイテムなので、どんな服に合わせるか、細かなことは気にせずに取り入れてほしい!」
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落合宏理
1977年東京都生まれ。2007年〈ファセッタズム〉を立ち上げ。12年東京で初のランウェイショーを開催。16年からコレクション発表の場をパリに移す。
Illustration: Tatsuya Koiso Text: Keiichiro Miyata