2025年大阪・関西万博でLVMHがメインパートナーを務めるフランス館には〈ディオール〉も出展。メゾンの職人技や手仕事へのオマージュとして展示される「バー」スーツや、シルエットのスケッチを立体化させた約400点のトワルのほか、吉岡徳仁、高木由利子、妹島和世ら日本人クリエイターと共同制作した作品も見どころだ。
〈ディオール〉の傑作、バー ジャケットがトリコロールカラーに
大阪・関西万博のフランス館にて展示中!

〈ディオール〉の展示エリアでは、メゾンが発表してきた歴代のさまざまなシルエットにフォーカスが当てられている。
その筆頭が、1947年にムッシュ ディオールが生み出したバー ジャケット。戦争が相次いだ1940年代半ばまで、人びとはファッションを楽しむことができる状況ではなく、ストイックな服装を求められた。ムッシュが提案したバー ジャケットは、肩のラインはなだらかに、ウエストは細く絞り、腰にかけてふんわりと…と、女性の身体をエレガントに美しく見せるデザインであり、戦争からの解放を示すかのようなセンセーショナルな存在となった。メゾンを象徴するバー ジャケットが、本会場にはフランス国旗を思わせる青・白・赤で登場する。
その隣には、同じくトリコロールカラーを纏ったアンフォラ ボトルが。1947年に初のコレクションを完成させたムッシュは、ドレスの仕上げとなる存在としてフレグランス「ミスディオール」を生み出した。初めて手掛けた香水のボトルにもバー ジャケットを思わせるシルエットを、と考案されたのがアンフォラ ボトルなのだ。
ほかにも、1947年から2018年に発表されたデザインを大小さまざまなサイズで3D化(圧巻!!)。ファッションの変遷を辿ることができる興味深い内容となっている。

万博は開催国と親交を深める場でもあることから、〈ディオール〉は3名の日本人クリエイターと共同制作した作品も展示している。
1つは2021年に発表された吉岡徳仁による『メダリオン オブ ライト』。1947年に開催したショーにおけるゲスト用の椅子、メダリオンチェアを再解釈したものだ。364枚の透明な樹脂プレートを用いた煌めく椅子が、会場のあちこちで光を放つ。
また、写真家、高木由利子がメゾンのアーカイブピースをダンサーに着せ、躍動する様を映した画像プロジェクションを投影。
さらにアイコンバッグ「レディ ディオール」を再解釈するプロジェクト「LADY DIOR AS SEEN BY」に携わった建築家、妹島和世による展示も。バッグから伸びるオブジェは花のような形の影を落とし、さらに上から見ると「DIOR」と読めるようになっているので、ぜひ、あらゆる角度から見てみてほしい。
メゾンが誇る数々の意匠から、たくさんのインスピレーションをもらえる空間となっている。
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Text_Ayako Tada