誰しも着こなしの要となるアイテムがひとつくらいはあるはずで、その人らしさを形づくるエッセンシャルと言えるのではないか。スタイルに一家言ありな6人に不可欠な私物を見せてもらった。これだけは譲れない、“とっておき”があるって素敵じゃない?#あの人のスタイルに欠かせないもの
俳優・夏帆のスタイルに欠かせないもの
自分の「好き」を再認識したカバーオール
俳優・夏帆
〈メインニュエ〉のカバーオール

「似合う服がわからなくなったら、古着に戻ってくる」
自分も年を重ねてきて、大人らしい格好をしなきゃいけないのかなと思っていたんです。そんな時に旅行先のスウェーデンのセレクトショップでたまたまこのカバーオールを見つけて、あ、やっぱ自分が好きなものってこれだよねって再認識しました。昔から人の手が加わったこういう、クラフト感のある洋服が好きで。よく古着店に行っていた10代の頃から異国情緒あふれる柄や手刺繡などに惹かれていたんです。
このブランドのことは知らなかったのですが、スウェーデンの〈メインニュエ〉のリメイクジャケットで、一点もの。ブラックの〈リーバイス®〉のキルティング付きカバーオールをベースに細かいところまで手が加えられていて、見ているだけで楽しくなります。ポケットの刺繡は可愛らしいし、背中には違う生地が縫い付けられている。〈メインニュエ〉はアクセサリーも作っているので、袖部分から伸びた糸の先端に石があしらわれていて、そのミックス加減も素敵です。滞在先のスウェーデンで見つけた一着なのですが、その旅行はヨーロッパを何カ国か回る予定でして。なるべく身軽にしようと思ってバックパックひとつで旅に出たんです。それなのに、旅の最初のほうで出合ってしまったので、荷物になるけどどうしよう……と一瞬考えて。でも頑張って連れて帰りました。スカートにもパンツにも合うから、めちゃくちゃ重宝しています。
俳優の仕事をしていると毎日いろんな服を着るもの。なかでも劇中衣装ってすごく不思議で、雑誌のお仕事でスタイリングを組んでもらうのと違って、誰かの人生を着るような感覚に近い。そういう毎日を送っていると、自分のスタイルってなんだろうって思う瞬間があって。自分にはこういう服の方が合うのかな?ってわからなくなる。そうなった時、戻ってくる場所が古着なんだなと思います。

Photo_Takao Iwasawa Styling_Natsuko Kaneko Hair&Make-up_Yuko Aika Text_Neo Iida
