大阪・関西万博2025のフランス館のフィナーレを飾るのは、〈ショーメ〉のエキシビション『Chaumet, an Ode to Living Nature-ショーメ、自然美への賛歌 -』。いよいよ万博も終盤。閉幕日となる10月13日(月・祝)まで、メゾンの歴史を物語る、輝かしいジュエリーの数々が展示される。
〈ショーメ〉の傑作ジュエリーと辿るメゾンの歴史
大阪・関西万博のフランス館のフィナーレを飾る


200年以上の時を経て輝くティアラが並ぶ、ヘリテージの部屋
パリのヴァンドーム12番地に本店を構える〈ショーメ〉。1780年の設立以来、伝統と現代性を融合させ、美しさを追求した傑作を生み出している。今回の展示では、創業時よりメゾンの根底に息づく「自然」にフィーチャー。1800年代に製作された貴重なヘリテージピースが並ぶ部屋と、ミツバチの巣のモチーフをモダンに描かれた絶対的なアイコン「ビー ドゥ ショーメ」コレクションが展示される部屋の、二部構成で楽しめる空間となっている。

ウェルカムピースは1811年に生まれた「麦の穂」のティアラ。ナポレオン1世が当時宝飾商であったマリ=エティエンヌ・ニトへ依頼したもの。ぷっくりと実った麦や、風になびくような穂先の繊細さまで丁寧に表現されている。

次に登場するのは「パンジー」を表したティアラ。パンジーはフランス語で“パンセ”と呼ばれ、思考・思想を意味する言葉。聡明さや賢明さを表しているのと同時に、パンジーが持つ、踏まれても再生する生命力の高さも象徴されるこのティアラは、抑制されていた当時の女性の内面を描くような力強さも持ちあわせている。

なかでも異彩を放っていたのが、1908年に制作された「翼」のティアラ。1910年にニューヨークのホイットニー美術館の創設者・ガードルード・ヴァンダービルト・ホイットニーのコレクションに加わったそう。ホイットニーは、たくさんの宝飾品を身につけて社交界に繰り出していたとか。翼に込められた、「自由」「羽ばたく」という言葉も、そんな彼女にぴったりだ。
〈ショーメ〉のティアラはトランスフォームできる仕様の作品も多く、「麦の穂」も9つのパートに分解して、髪飾りやネックレスとしても楽しめる。当時、船旅に多くの宝飾品を持ち込むことが難しかった。それでも毎晩の舞踏会に異なる装いを楽しみたい、たくさんの宝石を所有していることをアピールしたい。そんな当時の女性たちの願いが表れているのも興味深い。
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