「知性のあるスタイル」にはデザインはもちろん大切だが、 「色」も同じくらい重要なファクター。ここではその基本色であるネイビーの効果を探求。さらに今っぽくモダンに取り入れる方法も伝授します!
知的な色、ネイビーの考察とモダンスタイル
ヴィヴィッドな色や、白や黒に比べて過度な主張がなく、その人を控えめに見せてくれるのが、ネイビーとベージュの魅力だ。「出会った時に服のデザインは覚えていなくても、〝色〟の記憶はしっかりと残る」という〈オーラリー〉の岩井良太さんは、「特にネイビーの服は、日本人特有の〝奥ゆかしさ〟に似たムードがある。そこに、その人の知性と上品さが表れる」と話す。「物静かで、うちに秘めた女性の芯の強さを感じる」というのがスタイリスト仲子菜穂さんの考え。
ただ、ひと言にネイビーといっても、染色による濃淡や、黒糸や白糸を混紡するといったアレンジにより、さまざまな表情の〝紺〟がある。たとえば、そのトーンが濃いほど重厚感と品格を高め、淡いほど軽やかで初々しい。それを上手く使い分けることが重要なのだが、さらにコーディネートでも心がけることがあるという。「アイテムによっては、1枚でサラッと着るとメンズのようにストイックに見えることがあるので、女性らしいアクセサリーや小物使いが欠かせない」と仲子さん。また、〈ロク〉ディレクターである吉田恵理子さんは「デザインコンシャスな服はときとして強すぎる印象を与えることがありますが、ネイビーはそれを中和してほどよくその人になじませてくれる」と分析する。
ネイビーは、決してベーシック一辺倒にならず、ときには冒険をしながらも、知性をきちんと醸し出すことができる唯一の色なのだ。
01.「その人の魅力が しっかりと浮かび上がる」 ―二村
「過度な主張のないネイビーは、その知的なイメージだけでなく、それぞれが持つ人間性を引き出し、うまく調和させてくれる」。シンプルなニットに、華奢なアクセサリーを合わせた控えめな着こなしが、知性をさらに引き立てる。
ニット ¥37,000(スタジオ ニコルソン | キーロ)/ピアス ¥28,000(マリア ブラック | ショールーム セッション)/リング ¥71,000(シャルロット シェネ | エドストローム オフィス)
02.「ラフな装いでも、“紺ブレ” ひとつでスマートな印象に」 ―吉田
「金ボタンで仕立ての良い“紺ブレ”は、昔から知的なアイテムの代表格です」。トラックパンツ風のライン入りスラックスにTシャツといったカジュアルな装いに、紺のブレザーを合わせただけでここまで上品に見せてくれる。
ジャケット ¥74,000(ブルックス ブラザーズ | ブルックス ブラザーズ ジャパン)/Tシャツ ¥11,000(サンスペル | サンスペル 表参道)/パンツ ¥51,000(ラグ&ボーン | ラグ&ボーン 表参道)/ピアス ¥23,000(マリア ブラック | ショールーム セッション)/リング ¥71,000(シャルロット シェネ | エドストローム オフィス)
03. 「藍染めは日本人の肌に 上手くなじむ」 ―二村
伝統的な染色法として、古くは貴族の和装に用いられていた“藍染め”。日本人が慣れ親しんだ風合いと経年変化が楽しめる、ネイビーの中でも唯一無二の存在だ。現在はTシャツやボトムなど、さまざまなアイテムがそろう。
Tシャツ ¥18,000(シーエヌエルゼット | アルファ PR)/パンツ ¥26,000(ブルー ブルー ジャパン | オクラ)
04. 「ラベンダーとの色合わせで、 今っぽくフレッシュに!」 ―吉田
「シーズンレスな定番カラーなだけに、合わせる色次第で印象はグッと変わります。この春のトレンドでもあるラベンダーカラーとの相性は抜群です」。透け感のあるビニール素材のコルセットをアクセントに、シンプルな装いをさらに今季らしくアップデート。
シャツ ¥18,500(ロク | ロク ビューティ&ユース 渋谷キャットストリート)/コルセット ¥56,000(ティビ | ユニット&ゲスト)/パンツ ¥98,000(ネヘラ | ザ・ウォール ショールーム)/ピアス ¥27,000(ヒロタカ | ショールーム セッション)
05.「光沢のある素材が、 知性をさらに引き立てる」 ―岩井
「色の濃淡だけでなく、その素材感も重要です。サテンやシルクを混紡させたり、高密度に織り上げた光沢のあるものを選ぶと、より品格のあるムードに」。なかでもコモリのシャツワンピースは、滑らかなシルク地で肌触りも上質。
ワンピース ¥40,000(コモリ | アルファ PR)
06.「ちょっと冒険をしても、 無理して見えない」 ―岩井
「服をデザインする際、個性の強いアイテムほど、見た目のバランスを考慮してネイビーをチョイスします。攻めた印象をうまく中和してくれるから」。コーディネートの色数を抑えれば、さらにまとまりのある雰囲気に。
ブラウス ¥26,000(チノ | ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)/タートルネック ¥12,000(サンスペル | サンスペル 表参道)/パンツ ¥49,000(サヤカ デイヴィス | ショールーム セッション)/ピアス ¥79,000(シャルロット シェネ | エドストローム オフィス)
07.「フェミニンな服を、 大人っぽく変えてくれる」 ―仲子
ウエストや袖のドローコードを調整することでドレープの分量を調整できるワンピース。「ネイビーを選べば、プリーツ加工やリボンといった“甘さ”を、ガーリーに見せず、大人っぽく上品に仕上げることができます」
ワンピース ¥129,000(セドリック シャルリエ | シャールーム リンクス)/ピアス ¥79,000(シャルロット シェネ | エドストローム オフィス)
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二村 毅
スタイリスト。ネイビー信者として知られ、ミリタリー、ワーク、和装など洋服の知識も豊富。
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吉田恵理子
ロク ディレクター。バイヤーも兼任。イットブランドを次々に掘り当てる審美眼の持ち主。
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岩井良太
オーラリー デザイナー。生地開発にこだわった服作りに定評があり、その色味や表情に対して独自の見解を持つ。
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仲子菜穂
スタイリスト。ginzamag.com連載「仲子ちゃんの妄想T・P・O」の独特の“癖”にファン急増中。
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飯嶋恵太
ヘアメイク。「モッズ・へア」でのサロンワークを経て、2016年からヘアメイクとして活動。
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Photo: kimyongduck Styling: Nao Nakako Hair&Make-up: Keita Iijima (mod’s hair) Model: KAI Text&Edit: Keiichiro Miyata