確固とした信念、フィロソフィーを持つ人の装いは素敵である。そんなロジックから、 スタイリスト上杉美雪さんと共に導き出したのは、フランソワーズ・サガンに学ぶ、知的ファッション考察。
フランソワーズ・サガンに学ぶ知的ファッション考察
フランソワーズ・サガン/小説家
破滅を愛した作家の ノンシャランスタイル
1935年フランス生まれ。54年『悲しみよこんにちは』でデビュー、若くして世界的な名声と莫大な富を得る。69年間の生涯はドラッグにアルコール、ギャンブル、スポーツカーと事故、数多くの恋愛と、スキャンダラスなキーワードに彩られているが、育ちの良さと絶対的知性によるエレガンスは失わなかった。ボーダーとレオパード、ハイブランドにヴィンテージなど、無造作に多くの要素を組み合わせて、大胆かつ繊細なサガンのキャラクターを表現。
【Françoise Sagan’s voice】
“試練が人を養うというのはまったくの嘘。幸せな時の方が学ぶことはずっと多い。”
胸ポケットにエンブレム、グログランのトリミングもトラディショナルなジャケットに、フレンチアイコンのバスクシャツ、サガンが好んだというレオパード柄をのぞかせて。
ジャケット ¥438,000(グッチ | グッチ ジャパン)/ヴィンテージのレオパードジャケット ¥20,800、ヴィンテージのパンツ ¥8,800(共にトロ)/バスクシャツ ¥11,800(オーシバル | ビショップ)/ネックレス ¥31,000(マリア ブラック | ショールーム セッション)/ダイニングテーブル ¥235,000(ACTUS・青山店)
サガンと言えばタイプライターとのポートレートがあまりに有名だが、サインをするときは必ず万年筆を使ったというエピソードが残っている。モンブランのマイスターシュテュックは、30以上の工程を経て手作りされるペン先が筆記具の最高峰と讃えられるにふさわしい1本。
万年筆〈マイスターシュテュック ゴールドコーティング ル・グラン〉 ¥71,000(モンブラン | 銀座・伊東屋)
独特のヘアスタイルも彼女のキャラクターを表現するパーツ。アクセサリーは細いゴールドのネックレスをひとつだけ。
ジャケット ¥438,000(グッチ | グッチ ジャパン)/ヴィンテージのレオパードジャケット ¥20,800(トロ)/バスクシャツ ¥11,800(オーシバル | ビショップ)/ネックレス ¥31,000(マリア ブラック | ショールーム セッション)
『悲しみよこんにちは』は世界25カ国語に翻訳され、19歳にしてサガンは5億フランの印税を手にした。3年後に映画化された際、セシル役を演じたジーン・セバーグを見たゴダールは、彼女を『勝手にしやがれ』のヒロインに抜擢することを決めたのだとか。
とろけるようなカシミヤテンセルのシャツに、きめ細かいパイル生地で仕立てたフード付きのガウン。サガンがいま生きていたら、こんな装いで執筆するのかも。
ガウン ¥71,500、シャツ ¥38,000(共にエムエー デザビエ)/ネックレス ¥14,000(マリア ブラック | ショールーム セッション)
イギリス・ノーザンプトンの老舗紳士靴メーカーへ、ドゥロワーが別注したウィメンズシューズ。ノンシャランなスタイルを好んだサガンに似合いそうな、メンズ由来のフォルムが美しいストレートチップ。
シューズ ソール2.3cm ¥159,000(エドワード・グリーン | ドゥロワー 青山店)
■ショップリストはこちら
参考文献: 山口路子『サガンという生き方』(2010 新人物往来社)
Photo: Masayuki Ichinose (W) Styling: Miyuki Uesugi (3rd) Hair: KENICHI for SENSE OF HUMOUR Make-up: Akiko Sakamoto (3rd) Model: Saadi Text&Edit: Kayori Morita Props: Miki Onuma